やっとFFらしくなりました。というかサンクレッドの火力って普通に強くない?
ちょっと短いですけど、ここらのシーン書き終えたら合計4000文字ちょっとだったから、に分割にする事にしました。
***************
ササガン大王樹。初代ウルダハ王ササガンの名を持つその大樹は、高さというよりも幹に特徴があった。巨木と言う割に高さはそこまではないが、その代わりに幹や枝が太く、どっしりとした風格があった。
その大王樹の根元で、ローブ姿のララフェルの少女が膝をついて祈りを捧げている。
「ササガン様、申し訳ありません……。わたくしの不徳で、大切なものを奪われてしまいました……」
謝罪の言葉を述べる少女の表情は儚く、悲壮感に満ちている。
「誰じゃ!」
少女は背後からの気配を察し、振り向いて叫ぶ。振り向いた先にはアトラスとアリシエルの二人が立っていた。
「あ~……あんたがリリラお嬢様かい?」
アトラスが代表して、頭を掻きながら問う。
「そうじゃが……お主らは……?」
「俺は……」
「ふぅ……。探しましたよ、リリラ様」
アトラスが自己紹介をしようとした時、そのさらに背後から溜息交じりの声がした。二人が振り向くと、銀髪の若いヒューランが居た。顔立ちも整っており、出るところへ出れば、異性の視線を釘付けにするほどだろう。
「お一人で出歩いては危ないと、何度言ったら、ご分別なさるんです?」
男性の言葉から、こうやって一人で行動する事は一度や二度ではないようだ。アトラスはパパジャンの胃が悪くなっていないか、少し心配した。
「放っておけ! リリラは一人になりたいのじゃ! あっちへ行け!」
「そうはいきません。このところ物騒ですからね」
ローブ姿の少女――リリラは男性の言うことを猛反発する。ララフェルという事もあって、アトラスには反抗期の子供ように見えた。
一方、アリシエルは男性とリリラのやり取りを見て、眉を寄せて、何か罰悪い顔をしていた。
「それに、ここのエーテルは乱れています。嫌な感じがするのです。さぁ、返りましょう。皆が心配していますよ」
男性は優しい口調でリリラに手を差し伸べた。
「あ~……お取込み中、申し訳ないが……」
完全に置いてけぼりにされているアトラスが男性に声をかける。この男性もアトラス達と同じくリリラを探しに来たのだろうが、こうも話をホイホイと進められたらどうすればいいのかもわからない。
「すまない。君は所長が言っていた冒険者だな? ご苦労だったな」
「いや……無事に見つかって良かった」
「リリラ様は、このとおりヤンチャでね。俺も所長も、よく苦労をかけさせられているんだ」
「ふーん……アリシエルさん、何か思う所は?」
リオはアリシエルの事を探しており、彼女のことをお嬢様と呼んでいた。この事から、二人の関係をなんとなく察していたアトラスは、アリシエルに嫌味のように言った。
リオに迷惑をかけている事を理解しているのだろう、アリシエルは罰悪そうに、
「……一人で居たいときぐらいあるわよ? ずっと誰かが近くに居ると疲れるもの」
「そうじゃ! その冒険者の言う通りじゃ! リリラも一人でいたい時もある!」
と、共感する部分があるのだろう。リリラとアリシエルが妙な仲間意識を持った。
その二人のやり取りを見て、男性とアトラスはまた一つ溜息をついた。
「……何か来るっ!」
アリシエルが突如として叫び、背中の槍を手に持ち、構えた。
そのわずか1秒にも満たない後、空からの獅子にも似た遠吠えが辺りに響く。
「なんだ!?」
アトラスが反射的に空を見上げると、そこには見た事もない魔物が飛んでいた。背中に蝙蝠のような羽に三本の黒い角、手足は細いがその爪は鋭く尖っている。それは悪魔と表現するに相応しい姿をしていた。
魔物はアトラス達を認識すると、その体を広げ、威嚇する。
「やれやれ……敵の多いお嬢様だよ、まったく」
さらに厄介事が増えた男性は、現実逃避をしたくなったのか、思わず首を横に振っていた。
「無事にお届けしないと、パパジャンさんが卒倒しそうだ」
「リリラ様、下がっていてください」
アトラスは腰の剣を抜き、男性はリリラに安全な位置まで下がる事をお願いした。リリラも事態を察してか、素直に男性の言う事を聞き、後ろの方へと移動する。
「君達も手伝ってくれるのかい?」
男性は武器を構えるアトラスとアリシエルを見る。
「やるしかないみたいだしな」
「ちゃんと働きはするわよ?」
二人のやる気に満ちた声を聞き、男性は満足して腰のナイフを抜く。
「さて、さっさと片付けるぞ!」
三人は同時に魔物へと翔ける。
・
・
・