以前思いつきで
血のバレンタイン事件って言う出来事をまとめたけど、今回もまた気まぐれでMMO史に残る事件を紹介してみようと思う。
ネトゲで起きた大規模なパンデミックネトゲで感染症と聞くとウィルスの類かと思うかもだけど、今回お話するのは単なるデバフの話しだったりする。
2005年、FF14も大きな影響を受けたWoWと言うMMORPGで新たなレイドが実装。そのボスとして登場した血神ハッカルが付与してくるデバフ
「汚れた血」が全ての元凶だった。
効果はたった3秒間、毎秒ダメージを食らうただのDoT(毒)のようなものだったものの、食らったキャラの近くにいるキャラ(NPC含む)に感染しダンジョンから出ない限り解除不可と言うかなり嫌らしい効果。
もちろん血神ハッカルを倒すか全滅してダンジョンを出れば通常なら解除されるこのデバフ、とあるバグが存在した。
とある感染者の存在WoWにはハンターやウォーロックと言う、召喚士に似たペットジョブが存在した。
彼らが使役するペットもまた汚れた血に感染するが、感染した状態で召喚解除をした人が居たらしい。
そしてダンジョンを出て再びそのペットを召喚すると、出ると解除されるはずの汚れた血に感染したままのペットが出てきたからさあ大変。
感染者の大都市への移動、そしてパンデミックへ無条件で他人へ感染すると言う特性から、大都市で瞬く間に大流行を引き起こす「汚れた血」。
ただでさえ人が多い大都市なのに、街にいるNPCにも感染したものだから死なないNPCが無限ループ感染を引き起こしHPの低い低レベルプレイヤーの大量死に繋がった。
「ダンジョンから出ること」が唯一の回復方法なので、ダンジョン外では実質死ぬことでしか状態異常を解除できない。
しかも一度感染しても耐性はつかず、感染→死ぬ→蘇生→感染→死ぬ の無限ループに陥ったプレイヤーも現れ街中がパニック状態へ。
※フィールドに転がる白骨遺体は全て汚れた血の感染によって死亡したキャラクター運営の出遅れ、そして愉快犯の出現運営側は低レベルプレイヤーの避難と感染した高レベルプレイヤーの移動禁止を発表するも、パニックに陥り話を聞かない人、エーテライトで復活し感染と死亡を繰り返すループ者、面白半分か八つ当たりなのかわざと感染し感染地域を拡大させる愉快犯などの出現によって感染は収束するばかりか更に拡大。
挙句の果てには感染経路を運営より早く特定した一部プレイヤーによる汚れた血の持ち込み・拡散と言うバイオテロ行為によって、大都市だけでなく低レベルプレイヤーの避難先であった僻地でも同時多発的に感染が広がっていった。
事態の収束パンデミックを止める術を失ったついに運営はサーバを停止し緊急fixを行いバグを修正、世界初のMMORPG上でのパンデミックは収束。
汚れた血事件と名付けられたこの事件は
BBCなどの海外メディアに大きく扱われ、後に行動心理学者や伝染病研究者の目にとまり論文にも引用されることとなった。
汚れた血事件と現実のパンデミックにおける共通点動物感染→人口密集地に感染原が移動→密集地域での拡散→耐性の低い弱い伝染者の大量死
と言う感染ルートが実際のパンデミック(特に鳥インフルエンザ)に酷似しており、「非常に興味深いサンプル事例」とのこと。
更に行動心理学的にも「パニック」「スーパースプレッダー(爆発的に感染を拡大する人)」「言う事を聞かずに感染を広げる人」なども重要で、これは実際にパンデミックが起こらないと見られない現象らしい。
更に興味深いのは
・無駄だと分かりつつも、人助けのためにヒールやエスナで治療しようとするヒーラー(医療従事者)
・死ぬゆく仲間を見捨てられず、避難しないでその場に留まる人
・治療不可だと知り、死を受け入れて感染者同士集まって静かに死を待つ人々
などもゲーム内で多く見受けられた点。ゲームなのにリアリティが凄い。