あくびをし、涙を流し、居眠りし、いびきをかいて唾液を拭い、
多忙な貴方に代わってドリームをウォッチする汁物の眼「ミソシルアイ」。
今回は市場関係者が注目する、「BINDフリー」品について、
調査員から届けられた資料をご覧いただこう。
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さて、なんでもない一般的な商品に驚くような価格がついていたり、他に安いものがあるのに高額の商品が売れている状況を目にしたことはあるだろうか。
商品の付加価値には様々なものが考えられるが、その中で一部の客層が食い付く「BINDフリー」と呼ばれる商品群の噂がある。
通常、冒険者の装備は一度使用したものは「BIND」状態になり、他人に譲渡、販売ができない。
しかし、着用しても戦闘などで使用されなければ「BIND」状態にはならない。
これはいわば「古着」だが、遺跡で発見される「オールド」品や、「ヴィンテージ」品とは違う、「一度ある人物が着用した」事を付加価値として取引される物を、業者間では「BINDフリー」品と呼んでいるようだ。
人気の剣闘士が何かの式典で着用した鎧だとか、サングラスだとか。
サインや、クレストが入っていたりすれば、なお高額が付いておかしくない。
問題は、現在のマーケットのシステムでは、購入者がその商品の詳細を確認する手段が無い事だ。
そのため「BINDフリー」品も、真贋を確かめることはできず、表立って出回ることはない。
例えば最近は希少な染料で着色された装備もある。
染料の価値は色によって大きな差があるが、現状のマーケット上では、一度着色に使用してしまえば、その色の価値は、ほぼ消失してしまう。
しかしそれらが確認できるようになれば、ビジネスの幅は拡大し、クラフター達の製作物は単なる製品から「作品」に変わっていくだろう。
本誌は独自に、そういった品を扱っていると思われる某商社の、「仕入れ」の秘密に迫った。
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SS①
寝息を立てる女性の足元で、商人と見られる人物が、なんらかの作業を行っている。
これは採寸だろうか。なにか…雰囲気がおかしい。
SS②
作業を終えたところだろうか?
なにか…違和感がある。どこかが変化しているようだが。
SS③
なんということだろう!
眠る女性の着用していたサルエルパンツが無くなっていることにお気付きだろうか。
驚きの「仕入れ」の実態が見えてきた。
これが事実なら、ある意味、店頭に並ぶ商品は「本物」と言えるが…。
「コットンサルエル」の取引履歴を確認すると、HQ品に混じって高額で販売されたNQ品があった。
…しかし、それがこの現物であるかは、確かめようがない。
SS④
被害女性が、某商社の女社長をとっつかまえて、無くなったサルエルの行方を問いただしている。
「仕入れ」作業を行っていた人物とどこか似ている気もするが…。
この状況でも一切悪びれる様子は無く、涼しげな表情である。
か…カワ…ゲフンゲフン!
SS⑤
これが、今回調査員から届いた資料の最後の一枚である。
この一枚にだけは、状況の説明が添えられていなかった。
当人の戻らない今の段階では何も書くことはできない。
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現在このエオルゼアでは様々な商品が行き交い、またその出所が不透明なものも多い。
リムサ・ロミンサに出入りする市場関係者であれば、ある種の「商船」が、「海上貿易」によって「仕入れ」た品を、総称して「スパイス」と呼ぶことはご存知だろう。
それらも公然と取引され、私達の生活を支えている。
今回紹介した品物も、需要があり、供給があれば、やがて市場を賑わせていくはずである。
しかしもし、「掟破り」な手段で手に入れられた物が出回っていれば、今や我々の業界において最もセンセーショナルな存在となった「彼ら」の出番となるだろう。
くやしいが、「彼ら」の噂に関しては、発信地リムサ・ロミンサの某誌に、探求の手を譲るほかない。
論説委員:ニバク・トロバク