ーーー第十二話ーーー
「ボブさんもカイルさんもこんな状況なのにしっかりしてよぉ!」
危機感の少ない二人の会話にチョコが割って入る。
「おぉぉ!チョコやん気が付いたか!」
「あ!チョコさんお疲れ様っす!」
ボブとカイルはかけられた声に振り返る。
「なんでこんな時に、二人して祭りの思い出語って大笑いしてんのよ・・・」
チョコは相変わらずの呆れ具合であった。
チョコは自分たちに起きたことを話す。
「私たちは会議室でリアさんティアさんと三人で異形の妖異に襲われたんだよ?」
「逃げだそうとしたら家の前にレイちゃんに似た悪魔執事という何者かがいて・・」
「お菓子をよこせとか料理人がどうだとか言ってて・・戦いを挑んだリアさんが捕らえられて・・」
「そこから私もティアさんも一旦逃げようとしたんだけど、なんか記憶があいまい・・・」
チョコも軽いエーテル酔いのせいなのか頭を抱えた。
そんな中明るい声が響く。
「皆さん!おはようございます!」
トリーだ。
「聞いてくださいよ!!!先日購入した曰くつきの本にヴォイドゲートが開いてて!!」
「もうーーびっくりしちゃって!!」
「我慢できずに覗き込んだらここにいました!」
「これから何かおきるんですかね!!楽しみ!!」
オカルト好きのトリーは目が覚めるやいなや、自分の家での出来事についてマシンガントークを始める。
どうもこの現状を大変楽しんでいるようだ。
「あそこはぁ……オンスロートじゃなくてぇ・・・☆プライマルレンドだったなぁ☆」
「原初を解放しとけばよかった☆ブツブツ…」
リアはとっくに目を覚ましていたが、先ほどの戦闘のおさらい中である。
「いやそうなのよトリーさん!!私の方は仕事用メモからもヴォイドゲートでてさ!」
「さっそく、みんなに知らせようとしたところで記憶がないのよねぇ!きっとあそこでやられてるわ…」
なおも目を覚ましており、興味津々のトリーにさらに燃料を投下していた。
「おぉ、みんな起きてきたな!特に怪我とかはないようで良かったよ!」
ボブは無傷なメンバーを見て頷く。
「それで、トリーさん。この状況、心当たりある?」
チョコはトリーのオカルト話に解決の糸口を求めた。
「もぉチョコさん!忘れたんですか??」
トリーの瞳にキラリと光りが宿る。
「古いもの・・・本だったり手帳だったり、肖像画だったり」
「そこに現れたヴォイドゲート」
自分、ナオ、チョコを指差しぼいどげーとが開いたものを上げていくトリー。
そして先のチョコの話に出てきたお菓子を求める妖魔のこと。
トリーはここの空間に一つ心当たりがあった。
「ここ、きっと、『胃界ぼいど』の近くですよ!!!」
「胃界ぼいどー?………あぁぁ!!会議室で話してた!?」
ボブは会議室での出来事を思い出す。
「そーーです!」
力強くトリーは肯定する。
「思いの集まる品からお菓子を求めてやってくる異形達!」
「ぜえええええったいそうです!!」
今の今まで心の片隅にあった本当だったらいいなと思っていたオカルトの世界が目の前に広がっている。
トリーのテンションは上がりっぱなしである。
「私もトリーさんと一緒に任務してる時、ずううううっと耳にタコができるほど聞かされましたが」
「確かにこの状況、そうなんじゃないかと思ってしまいますね」
どんな時でも平常心であるティアがようやく口を開く。
今まで語っていたトリーの言葉と自分たちが襲われたときの情報を精査していたのだ。
「それに、超会議室を襲ってきたレイさんに似た敵、悪魔執事と言いましたっけ…?」
「今日レイさんは、アニリンさんと一緒にハウケタ御用邸に向かっているはずでした」
「そしてこのところ巷で噂になっている御用邸でのお化け騒動」
「推測するに容易い、条件が揃いすぎていますね」
ティアはホントにいつでも頼りになる男なのである。
「あ!!!そーーいえば!!俺もアニリンさんに似た、でっけぇおねぇみたいの見かけた!!」
ボブが思い出したかのように大声を上げる。
「レストラン・ビスマルクに向かってリムサを歩いてたんだけど」
「アニリンさんに呼ばれた気がしてさ…」
「振り返っても誰もいねぇから、気にせず歩き出したら誰かにぶつかったんだけど」
「そこからあまり記憶がねぇんだが…」
首を傾げながらボブは、その先を思い出そうとする。
「なーーんかアニリンさんのお母さんってこういう人なんだろうなみてぇな人の顔だったような……」
「ブフ・・・!アニリンさんのお母さんて!!」
それまで聞くことに回っていたナオが耐えられずにけらけらと笑い出す。それにつられ、状況がわからず暗い顔をしていた一同も顔が綻んだ。
「もぉやだー…」
「鉱山作業だの、お菓子作れだの、異界で鎖に巻かれるだの!今日は散々だーーー!!」
笑い声で目を覚ましたエクレア。本日の彼女は終始涙目である。
「あははは…。エクさんわりぃ…!今度麻雀付き合うよ!」
ボブはエクレアに頭をぺこぺこ下げながら平謝りをしている。
ボッチの会の運営陣はいつもの調子を取り戻した。
起きたエクレアに今までの会話をまとめたものを伝えた。
「会議室でチョコさんもアニリンさんからの連絡がないと心配していました」
チョコもティアの言葉に頷く。
「加えてボブの見たアニリンに似た誰かの姿、チョコたちのみたレイに似た悪魔執事の姿。
導き出される答えは一つ」
「これはアニリンさん、レイさんが異世界の何かに襲われたということで間違いなさそうですね」
その言葉に全員頷いた。
「それがトリーさんの言う、胃界ぼいどの方たちの仕業であるかは確定的な判断材料がまだないですが」
「私も胃界については、お伽話の類と認識していたので詳しくは……」
「とはいえボブさん、ここから脱出するのが先決だとはおもいますよ」
ティアはホントに頼りに(ry
暗闇の空間で捕らわれるボッチの会運営陣。
危機的状況の中でも彼らは皆不思議と危機感を感じない。
なぜなのだろうか。
過去数多の強敵と対峙し死闘を繰り返してきた彼らは、皆このような危機的状況に慣れていたのである。
to be continued........
第十一話
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/25439877/blog/5122348/第十三話
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/25439877/blog/5123327/