始めに
「蒼天のイシュガルド」ビスマルクを討滅していない人はネタバレになりますから、くれぐれも読まないでください。 私は走っていた。何処をどう走っているのか判らず、目的も判らない。でも、心は焦っていた。何かに締め付けられていそうだった。
目の前に扉が現れ勢いで開けると、見知った友人が私を出迎えてくれた。
オルシュファン「ふふ…。雪をものともせず駆けこんでくる姿、最高にイイな…。どうした?焦っているようだが」ウィジー「え?いえ…あれ、何だったんだろう」オルシュファンを目の前に、何かを焦っていた自分はそこにはいなかった、でも何かに締め付けられる感じは残ったまま。
オルシュファン「ふふ、おかしな奴だ。しかし、いいところに戻ってくれた。ちょうどお前の戦いぶりに、想いを馳せていたのだ。一撃を繰る際の肉体のしなりなど……とてもイイ……」ウィジー「………」いつもと同じオルシュファンのテンションに、いつもと同じ苦笑で返す私。
オルシュファン「まさか、さらに強靭になった肉体を、私に披露しにきたのか!?…ここではあれだな、私の私室にいくか?」ウィジー「…オルシュファン卿、それを女の子に言うのはセクハラって、ご存知ですか?」言いながら可笑しくなって笑ってしまった。オルシュファンはイイ人だ。光の戦士だ英雄だといわれて私を利用する人は沢山いる。
困っている時に『助けてくれと』寄ってくる人はいるが、そうでは無い時に私に近寄る人は少ない。みんなトラブルは避けたいのだ。
でも、オルシュファンは違う、私を見つけると嬉しそうに寄ってくる。困ったら無償で助けてくれるし、危険にも飛び込んでくれる。
もう何度も共に戦闘をこなしてきた。私の様な特異な人に、イヤな顔ひとつせず『友』だと言ってくれる稀な存在だ。
オルシュファン「心配になって来てみれば…蒼天騎士と神殿騎士が相手とは…!!」ウィジー「!?」オルシュファン「気を付けろ!シャリベルのファイアがくる」言われて私は、蒼天騎士シャリベルの放ったファイアを間一髪かわす。
そこはイシュガルド下層。アルフィノ君とヒルダさんと三人で蒼天騎士と神殿騎士相手に、街中で戦っていた。
???良くわからない。でも、シャリベルは倒さないといけない。それだけが心を占めていた。
オルシュファンが加勢に入ってくれたお陰で形勢は逆転。ルキアさんが登場するとシャリベルはあっさりと撤退していった。
オルシュファン「ふふ…また共に闘う事ができたな」ウィジー「オルシュファン卿、ありがとう。いつも助けてくれて」オルシュファン「それは此方のセリフだ。…しかしウィジー、お前は最高にイイ肉体のしなりと強靭さをもっているな」ウィジー「ふぅ…また始まった」オルシュファン「期せずして心躍る最高の共闘であったが…今回で最後のようだ」!?オルシュファンはゆっくりと私に向き直り、優しく微笑みながらそう言った。
オルシュファン「お前の信じた道を行け。お前が信じる未来なら、それは紛れもなくイイ世界の筈だからな」「何を言っているんです、オルシュファン卿」と出した手は、グリダニアの宿屋の天井に向けられていた。
ウィジー「………夢?」そう呟いた私の脳裏に先日の光景が思い浮かぶ。
ウィジー「!…痛っ」思い出して頭に痛みが走った。まるで思い出してはいけない封印を解いたかのようだった。
そうだった、あれから飛空艇で追撃して、蛮神ビスマルクを討滅して魔大陸を目指すも断念し、昨日ヤ・シュトラさんを救出したんだった。
ずっと気を張ってて考える暇もなかったから…。
涙が溢れていた。騙し騙しきた心が限界だったのかもしれない。……私は声を殺して泣いた。
私の部屋から泣き声が聞こえたら、きっとみんな不安になる。なりたくてなった光の戦士では無いけれど、私に希望を託してくれる人達の為に、私は英雄でなければならない。
『英雄に……悲しい顔は似合わぬぞ……。』最後の時にあっても私を気遣い、そう言ってくれた友の為に、泣くのは今だけにしようと決めた。
私はどこまで出来るのか判らないけど、精一杯やってみるよ。
貴方の死が無駄じゃなかったって、エーテル界のあなたが胸を張れる様に。
「『仇を討つ』なんて言ったら、「いや、そんな事はいい。それよりもイシュガルドの民の事を頼む」と言そうね」私はポツリと呟いた後、カーラインカフェを後にした。