前回までのあらすじ
ウルダハでの華麗なる活躍が評価されたTeoは、ついに念願の渡航権をてにいれたのであった!
◇
海の都、リムサ・ロミンサ。その街に私はひそかにあこがれを抱いていた。
活気に満ちた港町。行き交う船と波の音。石畳続く街並みから聞こえる人々の笑い声。
大都会ウルダハで働き、海見えるレストランで食事をして、静かな我が家に帰る――。
こんな贅沢な生活が、そこには望めるのだ。
・・・ウルダハでは貴族にはなれなかった。
今になって考えてみれば、貴族とは「生まれ」であって「金」ではない。いくら汗を流して働き、稼いだとしても私は貴族ではない。貴族とはそれにふさわしい魂をもっている者のことをいうのである。ナナモ様に拝謁した今、それは心で理解していた。
私は貴族ではない、だが冒険者である。私が目指すべきは決して小金持ちなどではない。
私はウルダハの熱気にあてられたことで間違った理想像を抱いて、それに振り回されすぎていたのかもしれない。自由にどこにでも行き、自由に生きる。それこそ本来の生き方ではないか。
そうだ。私が必要としているのは大それた権力などではなく、
いちララフェルとして生活していくうえでの幸せなのである。
「海か・・・、それもいい・・・」
海を渡る飛空艇で頬杖をつき、眼下の海を眺めながらそんなことを考える私の頬は自然と緩んでしまっていた。
◇
リムサ・ロミンサは想像していた華やかさとは毛色が少し違っていた。
所持品をつめこんだスーツケースを引きずる私をエーテライトプラザで待ち受けていたのは
大量の人、人、人であった。
静かで活気あふれる港町、というよりも、まるでオフシーズンの観光地であるかのような人口密度と過剰なほどの賑わい。我らがChocobo世界にはこれだけの人が住んでいたのか!
あまりの多さで目の前の情報量(おもに名前とチャット)がパンクしている。とめどなく流れる文字。
だがそんなことよりも目についたのは、プラザにいる人々のほとんどが、奇怪な見た目の武器を背負い、強烈な威圧感を伴う鎧などを纏っていることだった。
私は気が付いた。私がこの街に憧れて訪れたように、
リムサ・ロミンサでの生活は誰もが望むものであるその事実は少し考えれば明白なことだった。
そして、当然それだけの力量を持ったものだけが、その少ないパイを勝ち取る権利を持ち合わせる。
ここにいるのはそんな長い闘いを勝ち抜いてきた猛者たちなのだ。
妄想とはいえ、そこに簡単に入り込めると思っていた私は救いようのない阿呆だった。
◇
私はエーテライトの解放のために町中を歩き回った。
途中、プラザで剣を構える騎士の集団にもみくちゃにされたり、何故か見知らぬララフェル2人に周囲をぐるぐると回られておちょくられたりもした。
たまに双葉マークの冒険者を見かけると親近感が湧いて嬉しくなったりもしたが、器用に群衆の中でクラフトを行っている姿を見るに、人込みに慣れている都会生まれ都会育ちのようだったので、「私のような田舎者など・・・」と思ってしまい、なんとなく話しかけるのは憚られた。
・・・なんだかここではコットンに身を包んだ未熟な呪術師など、場違いであるような気すらしてくる。
私は周囲の視線が「お上りさん」を見るそれに思えてきて、耐えられなくなり、すぐさま下層甲板の底へと避難することにした。
下層甲板の底は比較的人口も落ち着いていたので、私はしばし、桟橋で海を眺めながら考え事にふけこむことにした。
私が想像していたよりも、リムサ・ロミンサはずっと実力主義の都会であった。
それはどこの国でも変わらないらしい。この先どうするかを自身に問いただす必要性がある。
私が桟橋でたむろしている姿があまりにみすぼらしかったのだろう。見かねた漁師ギルドのシシプ殿が釣り竿を貸してくれたので、幸い、思案の際の手持無沙汰は糸をたらすことで解決した。
眩しいものに集まる蛾のようにやってきただけの私が、この街でやっていけるのだろうか・・・。
エビが釣れる音がする。だが私はそのまま眠りについてしまっていた。
家に頼らず、自給自足しながら桟橋で野宿する。
その姿はまさに望んでいた通りの冒険者の鏡であるように思えた。
続く