第十四章 再会の市から
アジムステップへ向かったグ・エンベルト達一向は、無事に『ヒエン』と邂逅を果たし、
ドマ解放のために戦う決意を新たにする。
兵力に劣る解放軍を補うため、ヒエンはアジムステップの諸部族の力を借りようとしていた。
その為には一年に一度行われると言う『終節の合戦』に参加する必要がある。
ヒエンは自分の命を救ってくれた恩人である、アジムステップの弱小部族『モル族』を支援する事で、その戦いに参加するつもりだった。
グ・エンベルトの見る限り、ヒエンは一国の君主としても将、武人としても人かどの人物だと思えた。
ドマ解放軍の神輿、象徴としても問題無く、指導者、指揮官の才にも恵まれている様だ。
「(あいつに、これ位覚悟とやる気があればなぁ……)」
とアラミゴの王族である親友の顔を浮かべるグ・エンベルトだ。
なにしろ
「この首ひとつ差し出して、民が恩赦を得られるならば、惜しむ気などあるものか」
と本気で言える主君はそうざらには居ない、ゴウセツやユウギリが心酔するのもわかる気がした。
『終節の合戦』に参加する為には『試練』を受けなければならない、解放軍との連絡のためドマに戻ったユウギリを除く、ヒエン、グ・エンベルト、ゴウセツ、リセの四人は『バルダム覇道』での試練に挑み、無事に参加の資格を得てその証である猛禽『ヨル』を獲得した。
その後、アジムステップの『オロニル族』『ブドゥガ族』『ドタール族』等との出会いもあった。
モロ族の拠点『モル・イロー』に帰還したグ・エンベルト達は、ここで『終節の合戦』の準備をしている。
「うーん、やはり、他の部族と比べると、明らかに兵力部族ですね」
「何か、良い方法があるか?」
「シロガネに居る仲間を呼びましょうか? 僕の親友達です、全員腕は確かです」
「そうだな、それは良い考えだ、お主に任せるぞ」
ヒエンとモル族の族長「テムルン」の許可を得たグ・エンベルトは、最近ではいつも側に居るフウマの『伝書鷹』「ハヤタカ」を呼ぶと、手紙を託した。
「ハヤタカ、頼んだぞジェーニオに届けてくれ」
鷹は二度程鳴くと、空高く舞い上がり、一路シロガネを目指して飛んで行く
その日の夕刻、シロガネ「ハヤタカ」から手紙を受け取ったジェーニオは全員を集めた、
「アジムステップで楽しそうな祭りがあるそうだ、手伝いに来いとの事だからみんなで行くぞ
それと、装備は好きな物で良いそうだ、侍はどうやらあちらには殆んど居ないらしい」
「オノコロ島まで、エーテライトで飛んで、そこからは『大隼』に乗れば早いな」
「旦那様、我らにとってもアジムステップは未知の土地、今回は足手まといになるのでお供できませんが
お気をつけてくださいませ」
「ああ、フウマの皆んなは今回はのんびり休んでいてくれ、じゃあ皆んな支度したら行くぞ」
ジェーニオは久しぶりに赤魔道士の装備を着ている、クロエも同じだ、イリスとミラも赤魔道士を選んだ。
「姉様、私達はどうする?」
「私も赤魔道士で出ようかな」
「じゃあ、私たちも」
「なんだ、赤魔道士ばかりになったな、これはグ・エンベルトの師匠『シ・ルン・ティア』殿に見せたい光景だなぁ、あ、ジュリア折角だから奴の赤魔道士の装備も持っていってやろう」
第十五章 『赤の疾風』
「おお、赤備えでございますな、これはまた勇ましい、古来より戦場で特に目立つため『赤備え』は特に武勇に秀でた武将が率いた精鋭部隊であると言われております、旦那様方にはお似合いの色ですな」
と言うゲンヨウサイに見送られて、全員で最初の目的地『再会の市』に到着した。
ここで、グ・エンベルトと待ち合わせだ。
「へぇ、アウラ族の人が多いんだね、皆んな変わった服を着ている。」
「あら、あの青い服、素敵ね」
「あの屋台で売っているお饅頭?美味しそうだよ」
ジェーニオ以外は女子なので、会話がこんな感じになる。
「みんな来たな、悪いけどこれから直ぐに「キオルエン」の「バルダム覇道」で試練を受けてもらう、
この試練に通らないと『終節の合戦』の参加資格が無いんだ、『ヨル』で案内するから、そこで『大隼』を借りて付いて来てくれ」
「なんだよ、先に昼飯くらい食わせろよ」
「試練が終わったら、美味いモル族の料理を食わせてやる、それまで我慢しろ」
バルダム覇道には一人ずつ入る事になる、ジェーニオは軽々と全ての試練を終えて
一番先に出てきた。
「流石に早いな」
「全然問題無い」
実は、グ・エンベルトがこの試練を受けた時、彼は途中の獣達とは殆んど戦っていない、一言かけたら皆んな通してくれたからだ。
猛禽・怪鳥と言われる『ヨル』も直ぐに懐いてくれた。
「なんか、俺だけズルをした気分だなぁ」
と外に出て随分長い時間みんなを待っていたのだった。
今回もジェーニオ以外は時間がかかるかと思っていたのだが、妻達は意外にも全員ほぼ同じタイミングで出て来た。
「あの途中の羊、可愛かったねぇ」
「うん、最後の鳥も格好良かった」
と、こちらも全く問題無かった。
「よし、これで全員「ヨル』を呼べるね、じゃぁそれに乗って、モル族のキャンプに帰るよ」
「やっと飯が食えるか」
「わーい」
遠足気分の妻達である。
「モル・イロー」に戻ったグ・エンベルトはモル族の族長にジェーニオ達を紹介した。
族長「テムルン」は神託によって、全員がこの場に来る事を知っていたと話し、皆んなを驚かせた。
テムロンの天幕から出たグ・エンベルトは次にヒエンの天幕を訪ねた。
「ヒエン殿、これが私の親友エンベルト・ジェーニオ、この三人はその奥方でクロエ、イリス、ミラです、それとこっちの三人はジュリア、ビアンカ、モニカで私の妻達です」
「おう、お主がもう一人の英雄殿か、ゴウセツをも凌ぐ豪の者だそうだな、頼もしいかがぎりだ
奥方達も助太刀忝い、わしはドマの国主と言う事になっているが、まだ名前だけの若造よ、ドマ奪還を目指す、ひとりの同志と思ってはくれんか。
そなた達と同じ戦場に立ち、ともに戦ってゆきたい」
ヒエンの天幕にいたシリナがリセに聞いた。
「あの、エオルゼアの方って皆んな奥様がたくさんいるんですか?」
「いや、あの二人はちょっと特別かな、まぁ他にもそういう人いるんだけど……」
「(そう言えばサンクレットも結婚はしていないが、各地に愛人と言うか恋人らしき人が沢山居たなぁ」」
と思ったリセだった。
基本的に一夫一婦制で、異性との出会いは神託による天の意志を重んじる「モル族」のシリナから
したら、考えられない事だからだ。
「さて、メシにするか、アジムステップの料理は、見た目こそ優美でないが、素材がよいのでウマイ!
そして何より、力がつく!
それで半死半生から蘇ったわしが言うのだ、間違いないぞ。
今日は思い切り食って、合戦に備えようではないか!」
ヒエンの言った通り、味付けも調理方法も素朴な料理だったが、確かに美味しい料理だった。
またこの地方独特の酒、『馬乳酒』とも良くあう。
焚き火に当たりながら、酒を飲んでいると、ヒエンとゴウセツ、グ・エンベルトの姿が無い。
キャンプの直ぐ近くから剣戟の音がする。
近づいて見ると、グ・エンベルトが、剣を交えるヒエンとゴウセツの姿を見ている。
「なんだ、こんな時間に稽古か?」
「ああ、気持ちが逸っているだろう」
「ほお、あのゴウセツ殿から一本取ったか、ヒエン殿、なかなかやる様だな」
「ああ、かなり強いぞ」
ゴウセツとの稽古を終えたヒエンは一人で、月を見ながら座り込んでいる。
「俺は寝るぞ」
グ・エンベルトは自分にあてがわれた天幕に戻って言った、妻達ももう全員寝ている。
ジェーニオは持参した、ひんがしの国の焼酎を持って、ヒエンの横に座った。
「ヒエン殿、飲みますか?」
「すまん、頂く、ジェーニオ殿だったな、グ・エンベルト殿から聞いたのだが、貴公もワシと同じ様な立場な様だな」
「さぁ、どうでしょう?、ヒエン殿とは状況が少し違うかもしれませんね、従兄弟である狂王テオドリックに命を狙われて、リムサ・ロミンサに亡命した父は、私が2歳の時に暗殺されました。そして、父の死後二年後にアラミゴは帝国により滅ぼされました。
リムサ・ロミンサで育った私にはアラミゴの記憶はないのです。
ただ、この目で見たアラミゴの民の暮らしは酷い物でした、各地に居るアラミゴ難民も同様です。
難民への扱いはエオルゼア各国でもあまり誉められたものでは無いですから。
私にとってアラミゴ王国や王家の再興はどうでも良い事です、ただアラミゴの民に少しでも役立ちたい、その為のアラミゴ解放であり、その為には帝国の力を削ぐ必要があります、ドマ解放軍への協力はその目的の為、ドマの民やヒエン殿の為では無いのです。
「それがお主の本音なのだな、ワシは本音を隠して表面だけ取り繕う奴は信用せぬ事にしている。
ジェーニオ殿、お主とは友として、美味い酒が飲めそうだな」
二人はその後も夜が更けるまで、酒を飲み語りあった。
そして、翌朝、日の出と共に『終節の合戦』が始まる。
「久方ぶりの大戦だ。皆、準備はよいか?
この一戦、ドマ奪還への足掛かりであることは間違いない。
だが、わしにとっては、救われた恩に報いる戦いでもある。
必ずや、勝利とともに帰還するぞ」
モル族の衣装の色は赤である、その衣装と同じ『赤』い装束を纏った
赤魔道士の八人は戦場を駆け抜ける。
そして、最初にジュリアが「無垢の土地」と契約を結ぼうとした。
そこへマグナイに率いられた、オロノル族が来る
「余輩との戦を前にしても逃げ出さず、約束どおり相まみえに参上したこと、褒めて遣わす。
その勇猛さに応え、余輩と為合うことを許そう」
と、相変わらずのマグナイである、
「おい、あの変なやつなんだ?」
「ああ、面白いだろ、でも強いぞ」
そこへ、サドゥ率いるドタール族も来て、三つ巴の戦いになった。
「あの女族長はなんか親近感が湧くなぁ」
「お前、さっきから呑気な事言ってないで、真面目に戦え』
とは言ったグ・エンベルトだが、実は実力差が顕著で、二人が本気で戦えば
死人を量産してしまう恐れがあった、なので、ここは妻達に実戦経験を積ませると言う意味からも
少し後方から、援護に徹している。
そして、二度目の挑戦でジュリアが「無垢の土地」と契約して戦いは終わった。
モロ族の勝利だ。
「やった、モロ族の勝利です!」
と喜ぶシリナだったが、草原には不釣り合いな『青燐機関』の音が近づいてくる
グリーンワート率いる帝国の部隊だ。
「勇敢なる草原の戦士たち、誇りある者たちよ、新たな敵だが、よもやくたばってはおるまいな!」
とのヒエンの声に、オロニル族、ドタール族と協力して、グリーンワート達帝国軍を撃退する。
「敵にすれば厄介だが、味方にすれば頼もしいとはまさにこの事だな」
「ああ、どうやらアイツらも全力では戦っていなかった様だ」
帝国軍を相手にマグナイもサドゥも一才の手加減は無しだった、先程とは攻撃の威力が違うし
二人の連携攻撃も見事だった。
「あら、あの二人良い関係なのね、ご夫婦なのかしら?」
とジュリアが言う、二人に聞こえたら面白い事になっていたかもしれない。
帝国軍を退け、改めて「モロ族」を代表してシリナがドマ解放戦への協力を要請した。
オロニル族、ドタール族共に心良く(多分だが)了承してくれたので、これでアジムステップからの援軍確保と言うヒエンの目的は達した事になる。
モル・イローに帰還した一同は、酒宴のあと、名残惜しいがドマに戻る事になる。
「俺は一足先にウルダハに戻って、派遣部隊の要請をしてくる」
「ああ、ではシロガネで受け入れ準備をしておく、俺は一度、ヒエン殿とドマへ同行するから、皆んなに頼むけどだいじょうぶかな?」
「任せてください」
こうして、一同はアジムステップを後にした。
「再会の市」のエーテライトでウルダハに飛んだ、ジェーニオは
直ぐに、不滅隊本部に向かい「スウィフト大闘佐」と打ち合わせをする。
不滅隊の派遣部隊人選は既に終わっており、その日のうちに全員がリムサ・ロミンサに向かった。
リムサ・ロミンサでは「東アルデナード商会」が用意した、輸送船数十隻が既に待機中だ。
各国からの派遣部隊もそれぞれ、リムサ・ロミンサから海路でクガネ入りをする事になる。
第十六章『戰の前』
数日後、シロガネには続々と各国からの冒険者部隊が集結しつつあった。
その一方でクガネでは
「なぁ、最近妙に浪人の異国人が多く無いか?」
「ああ、なんか噂なんだが、大掛かりな御前試合があるらしいぞ」
「何だ、その御前試合って?」
「最近色々と物騒だろ、だから腕自慢を集めて試合をさせて、勝った奴はマツバ家で召し抱えるって話だ」
「なるほどな、だから浪人者が増えたのか」
これは、実は全くの出鱈目である、各国の冒険者部隊を送り込むに当たって
クガネの帝国大使館に警戒されない様にグ・エンベルトがフウマの忍び達を使って流した
デマである。
現在シロガネのこの街にはエオルゼア全土から集まった冒険者が既に1000人近く
集結していて、ヒエンからの連絡があり次第、ドマに向かう事になっている。
「リムサ・ロミンサを最後に出た部隊は明日には着くんだったな。」
ああ、黒渦団の冒険者部隊だと言う事だが
「そうか、じゃ暇だから、俺が迎えに行くとするか、明日は屯所で早朝稽古だしな」
「お前、少しは烈士庵の雑用を手伝えよ」
「そっちはお前と妻達に任せるよ」
実際、六人の妻達は細かい事にも気が付き良く働くので、ジェーニオが行くより遥かに役に立っているのである。
ジェーニオとグ・エンベルトは赤誠組の武術師範として正式に迎えられて、時間がある時には赤誠組屯所で各種武術を教えている、ジェーニオそしては、こちらの仕事の方が自分に合っていると思っている。
早朝稽古を終えたジェーニオが、風呂で汗を流していると、
「リムサ・ロミンサからの船が着いたそうですが、どうも港で揉め事の様です、乗っていたのは
海賊らしいという事で」
ゲンヨウサイが知らせに来た。
「あー、そうだな黒渦団と言っても中身は海賊だからな、制服を着ていなければ、そうとしか見えないなぁ」
「なんと、それは真ですか?」
ジェーニオは直ぐに、第二埠頭に向かった、
埠頭では赤誠組の隊士隊数名と海賊風の男達が「上陸させろ」「ダメだ」と争っている。
そこに、頭目らしい赤いジャケットを着た女が戦斧を担いで
「ガタガタ騒ぐんじゃ無いよ、責任者をとっとと呼んできな」
と啖呵を切った。
「己、海賊の分際で無礼な!」
と今にも刀を抜きそうな赤誠組の隊士だ。
「はい、そこまで、双方下がれ」
ジェーニオは二つのグループの真ん中に出た。
「師範」
「あら兄さん」
ジェーニオは最初に赤誠組の隊士に向かって
「すまないな、これは俺の妹なんだ、無礼は見逃してくれ」
と頭を下げる
「師範の妹君でしたか、それは大変失礼をいたしました」
と隊士達はルクレチアに礼をして、持ち場に戻った
「お前ね、なんで毎回毎回揉め事を起こすんだよ」
「あら、ちゃんと事前に入国許可を貰っているのに文句をつけてきたのはあの人達よ
大体、何その変な格好?」
「いや、それを言うなら、お前のそれ、誰がどう見たって女海賊の『紅血聖女団』じゃ無いか」
そこに、ルガディン族の男が間に入った、海賊風の衣装があまり似合っていない。
「まぁまぁ、それ位で、あの覚えておられないかもしれませんが、私以前海豚亭の前でお目にかかった
ホワイト・ワイバーン中甲士です、今回の派遣部隊の指揮を任せれています」
「ああ、あの時の、今は黒渦団の身分は無しだぞ、しかし君も大変だな、みんなを宿舎の方に案内するから、着いて来てくれ」
夕刻、グ・エンベルトと妻達全員が烈士庵から戻ってきた
「ご苦労様、飯はできてるぞ、今夜は『うどん』と言う食材に挑戦してみた」
「わぁ、美味しそう〜」
と妻達は喜ぶ。
食後、ジェーニオはグ・エンベルトと打ち合わせだ
「これで、全部隊揃った」
「ああ、後はヒエン殿からの指示を待つだけだ、だが、どうもまだ、ドマの反乱軍に問題があるんだ」
「反乱軍と言っても、侍達は前の反乱で殆ど残っていないんだったよな?」
「ああ、忍びの方はまだ人数がいるんだけどな、残りは武器を持った事が無い農民や町民だ、武器の調達もままにならないらしい」
「そうか、どうだろう? こっちは武器はまだ余裕が有るよな、コウジン族に頼んで運んでもらうか?」
「ああ、リセが苦労しているからな、俺もさっき防具集めを手伝って来たよ」
「そうか、お疲れ様、それで各隊を見てきたんだがなぁ、こっちもいささか問題有りだな」
「同盟軍の正規部隊はギラバニアで帝国軍と対峙中だろ、精鋭は向こうで必要だから仕方が無いんじゃないのか?」
「ああ、それでも不滅隊の冒険者部隊は、殆んどが俺たちの部下だったからまぁ良いとして……そこはスイフト大闘佐に感謝しないとな……」
「まず、今日着いた黒渦団の部隊な、指揮官は一応正規の士官だったが、残りは海賊とイエロージャケットが半々だな、しかもルクレチアまで居る」
「それは頼もしいじゃ無いか」
グ・エンベルトは笑った
「いや、笑い事じゃないって、あいつ無理やりでも突撃するからな……」
「(それ、お前が言うか?)」
と思ったグ・エンベルトだ
「イシュガルドの方は正規軍の『神殿騎士団』はアラミゴに張り付いているから、『イシュガルド銃士隊』と貴族のお抱え騎士団だな、ただ『聖フィネア連隊』で見かけた奴が数名いるから、そいつらは使えそうだ」
「そうか、あの隊も『竜詩戦争』終結後は暇なんだな」
「で、グリダニアなんだが・・・」
「我が義兄殿が指揮官だったな」
「そうだ、幻術士は若い成人したての連中ばかり、槍術士と弓術士は、どっちも鬼哭隊や神勇隊の予備役の様で、幻術士様の護衛って感じだな、前線には出せないぞ」
「ああ、わかっている」
グ・エンベルトとワ・オル・ティアは幼馴染だ、兄弟同様に育ったと言っても良い、それだけに
彼が幻術の方は人並み以上だが、武術の方があまり得意では無いのを知っている。
「ああ、そうだクガネの浪士隊は合流したのか?」
「ミツヨシ殿の指揮で、マツバ家の若侍が50名程、実戦の経験は無いが、腕は確かだそうだ」
「そうか、ひんがしの国はずっと平和だったからな、武士と言えど戦に出た者は居ないと前に奉行が言っていたからな」
「それでだ、アルフィノから大まかな作戦案を聞いてきた、こういう事だ……」
「よし、では各隊の責任者を集めて、軍議と行くか?」
「そうだな、アカネ殿、悪いが伝令を頼めるか?」
「はい、直ちに」
数刻して各国からの派遣部隊の指揮官が屋敷に集まった。
ジェーニオが最初に発言した。
「みんな、夜分に済まないな、作戦が決まったので、其々の部隊の分担を伝える、グ・エンベルト頼む」
ラウバーンにして『将の将たる器がある』と評されたジェーニオである、こう言う時は堂々としたものだ。
「黒渦団は、半数は紅玉海の海賊衆と同行してください、ドマ町人地の確保が任務です、残り半数はこコウジン族と同行し、城壁を破ったら、城の裏手から突入してください」
「了解しました」
ワイバーン中甲士が了承した。
「クガネの浪士隊は、暁のリセの部隊、ドマの町人衆の部隊の加勢をお願いしたい。この部隊が城内の敵をどれだけ誘き出せるかが作戦の勝敗の鍵になります」
「心得た」
剣術師範ミツヨシが力強くうなづく
「不滅隊とイシュガルドの騎士の諸君はジェーニオと正面からドマ城に突撃だ。
この部隊は解放軍本隊の為の囮でもある」
「何、いつもの事です」
笑いながら、不滅隊の士官が答える。
「双蛇党の部隊とイシュガルドの銃士隊は、私が直接指揮をする、かまわないですね?」
「ああ、グ・エンベルト殿は白魔道士、その指示に従う」
オルはうなづいた。
簡単な質疑応答があって軍議が終わり、指揮官達は其々の部隊の宿舎に戻っていった。
「こうしてみると見事に適材適所だな、カルテノンの戦いを思い出す」
「あ、それで、妻達はどうする?」
「ああ、今回はお前の前衛部隊が手薄なので、みんな暗黒騎士で前衛だな、俺も装備は暗黒騎士で出る」
「わかった」
「旦那様、我々はいかがいたしましょうか?」
「ゲンヨウサイ殿、フウマの皆には『ヒエン』殿の警護をお願いしたい、あの方はジェーニオと同じで
後方で指揮を取るのが嫌いな様なのでね、戦に勝ってもヒエン殿に何かあったら我らの負けですから、それと、余裕があればドマのオボロ殿の助太刀もお願いできますか?」
「心得ました、大将の警護とは忍びの本懐ですな」
その翌日、各国の冒険者部隊は「コウジン族」と「海賊衆」の船でシロガネからドマに向かった、
ジェーニオ達は全員エーテライトで烈士庵に飛んだ。