Personnage

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【RP記】刀剣奇譚 「鯰尾」の巻 参

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下記は ロールプレイに伴う二次創作になります。
独自設定、解釈、創作が入りますので、ご注意ください。

















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ギョライの情報を得たシドゥは、ヤンサまで騎獣を呼びつけると、すぐさまその背に乗り、玄水連山を超えて旧ドマ城下町を目指した。
 かつては武士たちの屋敷が軒を連ねていた門前侍町の上空までくると、シドゥは開けた空き地に騎獣を降ろした。

 既に辺りは宵の刻を迎えており、ヤンサの月は沖天にあった。
 あたりは獣のうめき声がわずかに聞こえるばかりで、人の気配はない。
 月輪が照らす薄灯りが、門前侍町にわずかに残った屋根屋根をぼうっと照らした。
 さながら、ドマに伝わる、黄泉の国のようである。
 と、僅かばかりに湿った風が吹き始め、雲に月の灯りが隠されると、あたりは暗闇に包まれた。
 が、シドゥは遠目に、ドマ町人地の物見塔の薄灯りを見つけた。
 それが、常に死に臨した生き方をしているシドゥには、妙に視線に残った。

 しばらく待つと、獣たちの鳴き声に代わり、妙な音が聞こえ始めた。
 水が滴るような、何かが擦れるような音だ。

 「うぺぺぺ」
 
 ナマズオの群れが、何かを探すように、廃墟の中を連れ立って歩いていた。
 ナマズオ達は、何れもユズカ代官屋敷に住まう者たちと違い、前掛けを付けず、鈴もつけていなかった。
 しかしその後尾に、ひときわ体が大きく、鈴と前掛けをつけた者がいた。

 

 人呼んで雷撃のギョライ。
 一度は文明化しながら、泥にまみれ、野盗をして暮らすナマズオ達の頭目となった者である。

 

 「ここにある筈だっペよ、探すっぺな!」


 

 シドゥは器用に廃屋の屋根に昇ると、屋根を身軽に跳び継ぎ、ナマズオの群れの後尾へと回った。
 手に持つ得物は年代物のバゼラード。
 エオルゼアで手に入れた「闇夜の灯火」が使っていたとされる短剣だった。
 
 屋根から屋根へ飛び移りながら、シドゥは、短剣の扱いを教えてくれた人物を思い出していた。
 ウルダハで出会い、暗殺者”アサシン”の心得を教えてくれた男。
 
  


 そして、自身に最も多くの影響を与えた人物。
 師と仰ぐ、オーレン・ユング・ヴァレスであった。






 『短刀とは、人が最も最初に得た刀剣です。 長く固い黒曜石を手に取った瞬間から、人は何かを斬る事を覚えた』

 遠回しに、一から、物事をしゃべる人だった。

 『短刀の利点は応用が利くことです、投擲、暗殺、工作……勿論、武器としても。 近接戦闘に持ち込めば、銃や魔術などよりもずっと速い』

 実に、多くの事を師は教えてくれた。
 文字の読み書き、計算の仕方、これはそののち、傭兵をやるのに随分と役だった。
 それから、魔術の基礎。
 何よりも、帝国の巨大な機械兵器と戦う力、暗黒剣。

 そして、

 

 『シドゥ、貴方には東方に伝わる二刀の戦法を教えてあげましょう、かつて最強と言われた剣聖(ブレイヴフェンサー)の戦い方ですよ』


 それ以外の多種多様な剣技にも、何故かその人は精通していた。
 

 『いいですか、シドゥ、二刀の利点とはですね……』



 俄かに、雨が降り始めた。
 シドゥは、ナマズオの群れの最後尾のギョライの後ろに、音もなく取りついた。
 ギョライは取り巻きを数名引きつれ、あたりを警護させていた。

 シドゥは、瓦礫の欠片を手に取ると、つぶてをうった。

 

 「ギョエ!」
 取り巻きのナマズオの一人の注意がこちらに向く、その直前、シドゥは身を隠し、物陰を駆け抜け、別のナマズオに近寄った。

 「ヒュッ……」
 

 シドゥはナマズオの滑付いた肌に組み付くと、ダガーの柄でナマズオの頭を叩いた。
 
 

 「ギョギョッ!?」
 ナマズオは白目をむいて気絶した。
 金にならない無駄な殺生はしない。
 シドゥの流儀だった。

 取り巻きをあっという間に一人減らすと、シドゥはギョライを見据え一気にかけた。
 一撃で仕留め、”鯰尾藤四郎”を奪う算段である。


 しかし、

 「ギョギョギョギョッ!!」
 

 突然、ギョライが、叫んだ。
 
 「チッ!?」
 シドゥは舌打ちして身をひるがえした。
 気づかれたのだ。
 

 「ギョエエエエーー!!」
 ギョライが叫ぶと、その滑った体から火花が飛んで、まるで雷のように周囲を焼いた。
 ナマズオの持つ放電能力だ。

 (しかし、これほど凄まじいものは見たことが無い……)
 シドゥは二転、後方にはねた。
 折しも雨が降っていたことも災いした。
 水気を伝って、シドゥの足にもわずかに雷撃が伝わった。

 「クッ」
 おかげで隠れるのが遅れた。
 シドゥをあっという間にナマズオの群れが取り囲む。

 「なんだ、またヒトの賞金稼ぎだっぺか?」
 ギョライが、嘲笑うかのように大きな口を開けて言った。
 「オラを舐めないでほしいっペな」
 「そうさな」
 こいつもBランクと言えど、クランセントリオにリスキーモブとして登録された賞金首なのだ。
 ナマズオ盗賊団を率いる頭目だけあると、シドゥは自身の目論見の甘さを認めた。
 
 ぐるり、と自分を囲ったナマズオ達がじりじりと近寄ってくる。
 だが、シドゥは動じずに、バゼラードを構えなおした。
 「そんなオモチャ二振りでオラたちとやりあうっぺか? ……ん? 金でも置いていけば命は助けてやるっペよ」

 シドゥはギョライの手元を見る。
 

 古めかしい銛のような形の薙刀が握られていた。
 あれが鯰尾藤四郎なのだろう。

 「どうかな」
 嘲笑するギョライに、逆に不敵に微笑み返すと、シドゥは跳ねた。

 「ギョギョ!」
 
 手下のナマズオ達もそれに反応して銛を振り上げた。
 

 ナマズオ達の銛が、一斉にシドゥを襲った。
 

 「ヒュッ……」
 しかし、シドゥは息を吐くと、それを片手で払った。
 「ギョッ」
 

 ナマズオが銛を引き次撃を打ち込もうとするが、シドゥは身を返しもう一方の短剣でナマズオのひれを軽く切りつけた。
 動じたナマズオが銛を止めたので、今度は銛を受け付けた側の短刀でナマズオを斬りつけた。
 


 「ギョ、ギョエーー!!」
 ナマズオが咄嗟に銛を掲げて防いだが、銛が真っ二つに切り割かれた。


 

 それからは乱戦だった。
 慌てたナマズオ達が一斉に斬りかかってきたが、銛による刺突を、シドゥは両手の短剣で時に斬り払い、時に斬りつけ、攻防一体、変幻自在の太刀筋で切り結んだ

 『二刀の利点は、その攻防の自在さにあります、一刀で守り一刀で攻め、また双刀で攻め、双刀で守り……もしくはそれを”同時に”行う事、攻めから守り、守りから攻め、守りから守り、攻めから攻め……貴方にそれを使いこなす機転があるなら、ですが』

 師の言葉は、既にシドゥの身体に技として染みついていた。
 
 

 既に、ナマズオ達の殆どは及び腰になっていた。
 シドゥが近づくと、ギョライの影に隠れるように身を下げた。
 「もういい、オラがやるっぺな!」

 

 と、頭目のギョライが前に出た。
 「雷撃のギョライの恐ろしさ……とくと見るっペな!」

 

 再び、ギョライがその身に雷を溜め始めた。

 雷撃、その異名は伊達ではなかったらしい。
 


 凄まじい雷気が弾けた。

 


 鉄槌でも打ち付けた様な轟音が鳴り響くと、あたりが稲光に照らされた。
 「っ……!?」
シドゥはさらに後ろへ引いた。
 並の呪術師のサンダーでは到底敵わないような威力がある。
 

 と、シドゥが距離を取ったのを見るや否や、ギョライが鯰尾藤四郎を突き出してきた。
 

 「ギョギョギョ!!」
 短剣二振りを重ねて、銛の一撃を食い止める。
 が、
 ばちん、とシドゥの手が撥ねた。
 (なんだと?)
 シドゥは力任せに手を振り回すと、ギョライからなんとか距離を取った。

 (痺れてやがる)
 シドゥは自身の手元を見やった。
 ギョライの電撃が、鯰尾藤四郎を伝わってシドゥの手元を痺れさせたのだ。

 「うぺぺぺぺ、驚いたっペな? 古来、業物には妖力が宿る、と言われてるっぺな! 吉光の打った、この鯰尾藤四郎、とっくに切れ味はないけんども、オラの雷撃をそのままに伝えてくれるっぺよ!」
 それが、ギョライが鯰尾藤四郎を持ち歩く理由なのだ。

 (妖力、か)
 益々、その鯰尾藤四郎がシドゥは欲しくなった。
 しかし、近づけばいかづちが襲ってくるし、距離を取ろうにも相手の得物は射程のある長物、薙刀だった。
 短剣のシドゥでは分が、悪いという物である。

 「ギョギョギョ、オラに迂闊に斬りかかった愚かさを呪うっぺな! その亡骸をクランセントリオに送ってやるっぺよ」
 

 ギョライは大声を上げて笑った。
 (何言いやがる)
 シドゥはギョライの声に苛立ちながらも、冷静に手を考えた。

 (妖力、そのままに伝える、か……)
 シドゥは一つ、思いついた。

 思いついたまま、シドゥは跳ねた。

 「ギョギョ!?」
 まだやるっぺな! とギョライは叫ぶと、鯰尾藤四郎を掴む手に力を込めた。

 

 今までで一番の雷をギョライは起こそうとしていた。

 と、シドゥは片手のバゼラードに力を込めた
 「生きるも死ぬも剣持つさだめ……地獄で悟れ、暗の剣!」
 口上を口の中で呟くと、シドゥはバゼラードを投刃した。

 
 

 「ギョエエエエエーーーー!」
 ギョライ渾身の雷が起きた、が、その雷は避雷針に吸い寄せられるように、シドゥのバゼラードに向った。

 「ギョギョッ!?」
 敵の魔力を吸い寄せ、我が身に吸収する、暗黒剣の奥義を応用したのだ。
 

 雷の鎧が不発に終わったギョライは慌てて突きを繰り出した。
 が、リーチのある長物は、間合いに入られると極端に弱い。

 「おせえよ」
 
 シドゥは、ギョライの喉元に刃を押し当てていた。
 

 「ギョ……ギョギョ……」


 ギョライは、脂汗を流して、固まった。
 鯰尾藤四郎を持つ手が緩む。
 シドゥは足でそれを蹴り飛ばすと、ギョライの手を離れ飛んでいった。

 「か、カンベンしてほしいっペ! オ、オラまだ死にたくないっペな」
 ギョライは涙目で嘆願した。
 「お前もセントリオの賞金首だ、随分悪事も働いたんだろう」
 「そ、その薙刀をやるっぺ、あ、悪い事ももうしないっぺから……」
 シドゥは聞く耳を持たず刃を立てようとした。

 と、その時である。



 「急急如律……!



 シドゥの背に、悪寒が走った。

 と、次の瞬間にはシドゥの身体が空中に放り出されていた。
 巨大な力で体を打ち付けられたのだ。

 「ぐぁっ……!?」
 シドゥは呆然として、廃墟の石床に体を叩きつけられた。


 「ギョ、ギョエエ~~~!」
 ギョライとナマズオ達の群れは涙を流して、その場から逃げ出した。

 
 「ぐぁ……」
 一体、何が起きたのか、シドゥは体をなんとか動かし身を起こそうとする。
 「……ほう、私の超級太極弾を受けてまだ意識があるとは」
 と、男の声がした。
 シドゥは声のした方向を見やった。

 門前侍町の外れにある菜花の原に、声の主がいた。
 


 「ギョライめ、ずいぶん時間が掛かると思っていたが、邪魔が入っていたとはな……」
 「お、お前……」
 シドゥは立ち上がると、先ほど投げたもう片方のバゼラードを手に取った。

 二刀を構えなおし、その男と対峙する、

 「大方賞金稼ぎか……まあ良い……まだギョライには役だって貰わんといかん」 
 「貴様何者だ……」
 「下等な冒険者に名乗る名は持ち合わせておらん……」
 興味なさげに、男は言った。
 雨はやみ、風だけがヤンサに吹く。
 月は傾き始めていた。
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