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https://docs.google.com/document/d/1MgowurYAI8dm41yJWTR-bY-MEu1EB5Ekd5ynKfHT4Ag/edit?usp=sharing---2022年6月---
私の部屋には大量のタペストリーと本とゲームが転がっており、自分の趣味の世界に戻れる。気付けば(ちょっと大人の)子供部屋おじさんと化しており、それだけ絵や創作物が好きだった。
今年の春ごろから、数年ぶりに活動再開したイラストレーターの方と交流しており、当時から応援していたことを喜んでいただけたり、当時プレイしていたソーシャルゲームのオンリーイベントに私も一般で参加して本を戴いたりしていた。コスプレしながら自作の本を出す等、精力的に活動されており、そして何より彼女自身が非常に楽しそうだったことを覚えている。
いつかそちら側に立ちたいと思っていたが、どの本も丁寧に作り込まれており、残念な事に私に絵や物語の才能は無かった。そんなことはもうとっくの昔に知っていたのに、そう思ってしまうだけの夢を持つ自分が少し苛立たしかった。
夢や希望を抱く事がなければ、平穏な生活を送れるのに、頑張ろうとして出来た試しが私にはなかった。本気で頑張った陸上競技も3年間一度も賞を取る事はなく、成人してすぐバイクで事故を起こして、以前の様に軽快に走る事が出来ない。
学生時代、賞を取った記憶がない私にとって、自分自身はよく言えば平凡、悪く言えば取り柄が無い。
何もない人間が何を発表するのだろうか。
明るくは振舞うが、自分を見ればいくらでも暗い泥の中に潜り込める、そういった類の自分がこちらを覗いていた。
---2022年7月---
あるゲームで知り合い、共にFF14の世界でも肩を並べた友人と、去年の夏のこと。
「もう30歳になる」という枯れた話題を、オシャレな店でオシャレな食事と共に語り合っていた。
家に帰ればダラダラと動画を見て、時間になったら寝る。私にはプロの試合以外で他人のゲーム配信を見る文化が無いためピンとこなかったが、確かに気付けばそんな無気力な、何も考えていない生活をしている節があった。なんとなくゲームして、なんとなく寝る。
特に、あれだけGW頃は熱中していたクリスタルコンフリクトのランクマッチを行かなくなって久しい。
「俺達も何か新しい事にチャレンジしていかないとな」と語る彼の言葉が、自分の中の何かを揺らしていた。
「新しい事」とは即ち、未知である。家から出てコンビニに向かう様な意識しなくても出来る道筋はなく、探し回る必要があり、その情熱も必要だ。今の私にそんな情熱を抱けるものはあるのだろうか。
---2022年8月---
交流していたイラストレーターの方が、何も言わずにアカウントを削除して失踪した。
正直、しばらくは空気の抜けた風船の様な人間になっていた。職場では居眠りと遅刻を繰り返し、休み時間に実は何かの手違いだったのではないか?と確認したが、やはりアカウントは消えている。
営業からは怒られるが、そんなことはどうでも良かった。別に俺が死のうが消えようが、代わりはいくらでもいる。同程度またはそれ以上の技術力で、もっと安く雇える人間なんてごまんといる。だが、直前まであんなに楽しく活動されていた方がアカウントを消した理由が分からず、しかも他の方にも説明していなかったのか、名前で検索すると混乱したツイートが散見された。
俺一人が消えるのと、何か出来る人が消えるのでは、これほどまでに差がある。少なくとも私個人にとって、「心に穴が開いた」という言葉がしっくりくる状況だった。代わりはいないのである。
そんな中、夏コミ(C100)が来る。一般参加を始めてから5年ほど経つが、この混沌は私に熱意を与えてくれる。
言い方こそ悪いが、そこに作品の表面的な上手下手は関係なく、ただ各々が情熱で作り上げたものが頒布されている。
1か所の会場に、自分が知っているゲームから、全く知らない世界の本まで存在し、それらを手に取る事で初めて知る知識もある。現代社会にはインターネットが存在し、検索エンジンも発達しているが、知ろうとしないものについて知る事は出来ない。検索するためのワードが分からなければ、調べられない。
それが、ただフラフラと歩き回るだけでドンドン入ってくるのだ。世界情勢的にOKなのか怪しいものから、普段何気なく乗っている電車の本、自分が飲んでいるコーヒーや、仕事で使っているエクセルの技術書まで。これを混沌以外に言い表す方法はない。だが、混沌故に、ここが入口だと感じていた。
失意はあれど、コミケの会場でフラフラしている余裕はない。それは本気で本を出した相手に失礼になる。
フォローしているイラストレーターの方に挨拶したり、応援している旨を伝えたりして、家に帰る。
家に帰って読んでいて、ふと気付いた。
作者の多くは、私よりも圧倒的に若いのである。前述の失踪したイラストレーターの方も同様だ。
そんな中、私はどうだろうか。このままでは本当に「何もない自分」である。
勢いでコミックマーケットの参加の方法を調べた。情報が多すぎて読みづらいカンファレンス資料を読み、サークル登録をして、もう時間が無い中で雑にサークルカットを書き、1万円のサークル参加費用を悩みながらコンビニのレジに叩きつけた。
そして、クリスタルコンフリクト シーズン3が始まる。
---2022年9月---
全員ブロンズスタートのクリスタルコンフリクトは芋洗い状態だった。
特別上手いプレイヤーがさっさと昇格していく中、ゴールドに上がってから右往左往させられる。
おかしい、俺はクリスタルだったはずだ。こんなところで足踏みを受けるはずがない。そんな傲慢さが自分のミスを覆い隠し、また次の試合でも負け続ける。
クリスタルになりたいと強く思うほど、「こんな試合で」と考えている自分に気付く。
しかし、少なからず、相手も味方もまた、今は同じレーティングなのだ。
とんでもなくマッチングが広すぎてゴールドとブロンズが一緒になるのは狂っているとは思うが、お互いにゴールドならゴールドだ。なら、「こんな試合」ではなく「この試合」に勝つ必要がある。
そう気づいたあとはシンプルだった。自分のミスを潰して、プラチナに上がってしまえば、割とスムーズにクリスタルには手が届いた。そして、一つ運が良かった事がある。
クリスタルに昇格した時、その試合には当時の1位のプレイヤーが居た。しかし勝ってクリスタルに登ったことで、モチベーションが爆発していた。
もっと面白い戦いがしたい。ギリギリで初めて感じる興奮がもたらす、本気の勝負がしたい。
しかしクリスタルに上がってしまうと、同じ面子とだけマッチングしてしまう。同じお気に入りのラーメンを食べ続けても美味しくはあるが、飽きてくるのだ。「もっと人が増えないかな」と感じ始めていた。
---2022年10月---
テレワークをサボりながらカジュアルを回していると、よく見るプレイヤーがいる。
実は当時、プラチナランクで上位にいたプレイヤーであると気付いていたので、ランクで心折れたタイプか、と感じていた。
しかし同時に、何が原因で詰まっているのか、気にもしていた。
どちらにせよ、「同じ不真面目な人間か、もしくは平日休みの仕事の方か、大学生だろうか?」程度に考えていたが、突然Tellが飛んでくる。
確か最初の文言は「こんばんは、今お話しよろしいでしょうか」的な文言だった気がする。昔、フィーストを少し触った際にボコボコにされ、すぐ退室した後「何で挨拶しないんですか?」と粘着Tellされた記憶が蘇り、警戒したが、返さないのは失礼になる。
なんとか返すと、そこからよくカジュアルで会う話から、お互いのリアルの話をしたり、FCの話をしたり、その日にあったとは思えない程スルスルと会話していた。
会話の内に、苦手なジョブを聞き出して、ウルヴズジェイルで対策を指導したり、普段の戦闘から悪手を思い出して改善案を出して、分からなかったらいつでも気軽に声をかけていい、とその日はログアウトした。
話すのが楽しすぎて、次の日は遅刻した。
教えたプレイヤーから、継続して分からない点を伺っては回答して、時に実践してコメントしていた。いつの間にかダイヤまで上り詰め、クリスタルに触れようとしていた。
その横で、感化されたのか自分もまたクリスタルに上がっただけで終わりではないと、ランクマッチを回していた。一瞬70位まで上り詰め、その後10連敗したあたりで次シーズンが迫る。
そして、コミケは当選していた。書かなくてはいけない。OW2にガッツリ浮気しながら、なんとか書き続ける。
書く内容は決まっている。遅番の出勤で暇な時間にテキストに書き溜めた物を形にする。
これはクリスタルコンフリクトをプレイしてくれる人に向けた、今まだ開花していない才能へ与える一粒の雨みたいなものである。
---2022年11月---
仕事で他人に引き継いでいる時、大事にしていることがある。
・自分が分からなかった事は他人にも同じ時点では分からない。
・何故その作業を行うのか、前後関係が分からないと理解できない。
作業画面と手順書を投影して、この手順はココをこうして……と説明している様に、同様のレベルで他人にクリスタルコンフリクトを引き継ぎたかった。
面白い戦いを増やすためにはまず、今まだくすぶっているプレイヤーを、より高みに磨き上げる必要がある。しかし、局所的な部分を書き出しても、PvPはケースバイケースであり、鵜呑みにしすぎて頭を固くしてもいけない。
基本的な、そもそもの戦術的な部分を書いては消して、書いては消していた。仕事でも「君の資料は話したい事が先にあって、何を話したいのか分からない」と指摘されていたことを思い出し、何度も書き直す。元ネタは出来上がっていたが、削る作業の方が大事だと実感していた。
この時期はCoDMW2に浮気していた。
---2022年12月---
物は出来上がっている。
文章をGoogleDriveに突っ込み、調整して印刷する。
これがコミケの1週前を切っているので、本当にアホなスケジュール管理だと思いながら、カバンに冊子を突っ込んだ。
この本はこの記事の最初にリンクがあるように、無料である。
本気で勝ちたいと思える戦いが増えるのなら、むしろこちらがその熱意を買い取りたいほど、僕はこのゲームが好きだと思えたためである。
この熱意の切っ先が、フレンドや手に取ったり目にしていただいた方へ届けば、僕はこの1冊に意味があったと自信を持って言いたい。