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【RP】23日目、新たなる冒険⑧

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思いっきりパッチ6.1のネタバレ入ります。というか6.1からのメインクエに沿ってif系のRPしています(LSの他の人とのロールプレイとは無関係です)。
6.1メインクエ未完の方は速やかにお帰り下さい。


<<前の話

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ヴリトラの様子は気になったけれど、その場にいない人のことであれこれ言うのは誰の主義でもなさそうだった。

「……人造アトモスの完成を待つ間、私たちも、第十三世界へ渡る準備を進めておきましょう」

ヤシュトラがそう言った事で、残ったメンツでやるべき事はトントン拍子に決まった。といっても、主に一個だけだ。つまるところ霊鱗の強化。

これは、遺烈郷の錬金術師達ではなく、シドの率いるガーロンド・アイアンワークスに頼む事になった。シドはグラハティア達と一緒に、ヴォイド世界に渡った経験があるわけだしね。

何やら所用があるといって一時離脱したエスティニアンをおいて、ユウ、私、ヤシュトラの3人へラールガーズリーチへと向かい、多忙なシドが戻ってきてくれるまで現地で数泊。ようやく会えたシドにこれまでのいきさつを簡単に説明し、霊鱗の補強を快諾してもらう。シンプルに、霊鱗に特殊なケースを作ってくれるということで、方法は決まった。

ちなみに、ユウとヤシュトラとの数日のラールガーズリーチ滞在は、結構楽しかった。レイシーさんに連絡して、ヤシュトラ交えてちょっとした任務を請け負ったり、一緒に現地料理を作ったりした。
これは現地料理じゃないけど、私がヒビキお気に入りのドマ茶を携帯していたので、水牛乳を混ぜて、イシュガルディアンティーみたいにしたら美味しいかな?と試したのが個人的にヒットした。ユウとヤシュトラにも気に入ってもらえたぽいのが嬉しい。家でも定期的に飲もうかな。

で、そんなこんなで数日経過したラールガーズリーチを発ち、再びデミールの遺烈郷へ戻る。本題の、人造アトモスの方はどうなったかな、って様子見だ。

ニッダーナのいる遺烈郷の工房は、錬金窯からの蒸気がもうもうと立ち込めて湿気がすごかった。尻尾がぶわぶわして、ぶっちゃけココ嫌い。
イライラと尻尾を揺らしていると、なんとなくユウに笑われた気がする。シャーッ。

それはともかく。錬金窯の近くで、山のような資料と素材に埋もれていたニッダーナが―――一瞬、資料の山で姿が見えなかったけど、その近くにヴァルシャンもいた―――こっちに気付いて顔を上げた。

「あら、霊鱗の調整の方は順調なの?」
「ええ、時間はかかるけれど、目処は立ったわ」と、ヤシュトラ。
「それはなによりね! こちらも、ヴリトラ様が許可をくださったおかげで、太守一族の記録から有益な情報が得られたわ!」

貴重な書物を読めたニッダーナは、ご機嫌だ。曰く、宝物殿と同じ時期の取引記録に、特徴的な錬金素材の購入履歴が見つかったという。それが人造アトモスに関係するものじゃないか、という事らしい。

「それで、アルキミヤ製薬堂を通じて手配したのだけれど、そうしたら、あそこの錬金術師たちも興味を持ったみたいで、手伝ってくれることになったのよ!」

工房には他の錬金術師達が大勢いた。てっきり工房の常駐かと思っていたけど、なるほど、そういえば製薬堂で見た顔もちらほらとある。

その様子を見て、ヤシュトラが微笑んだ。

「人為的にヴォイドゲートを開く、なんて聞いたら、普通なら尻込みしてもおかしくないところだけれど……さすがは、名高いラザハンの錬金術師たちね」

ところで、好奇心はクァールをも殺す、なんてことわざがあった気がするけど、身に覚えのある身からすると口に出すと心が痛いので黙っておく。

皆の傍らで、ヴァルシャンも、どこか遠いものを見守る眼差しで錬金術師達を見つめていた。

「かつての錬金術師たちも、彼らと同じ目をしていた。未知の存在に恐怖を覚えるのではなく、そのすべてを解き明かそうと、目を輝かせていた……」
「あなたにも危険を顧みずに、叶えたい願いがあったのではなくて?」

……ヤシュトラだ。まっすぐにヴァルシャンを見据えて、とうとう切り込む事にしたらしい。



「……私は卵から孵るのが遅かった。父祖ミドガルズオルムが休眠期に入ったあとは、アジュダヤが、寄り添ってくれていたそうだ。以前にも言ったが、アジュダヤは私にとって、姉であり、親とも呼べる存在なのだ……一日たりとも忘れたことはない」

俯くヴァルシャンは、小さな拳を固く握りしめた。

「どこにいたとしても、必ず見つけ出してみせる。そしてもう一度、ともに空を駆けたい。……そう願わない日はなかった」

だが、って言うんでしょ。

「だが、今の私には……」

その姿勢、いい加減ひとこと言ってやりたくなってきたなー。

でも私が口を出すまでもなかった。ドカドカッと工房に押し入りして来た、威勢の良い軍団がいたからだ。

俺たち星戦士団のことを、忘れてもらっちゃ困る!

なんでかナブディーン率いる星戦士団の一軍が現れた。どこから湧いてどこから盗み聞きしてたんだろ。さすがのヴァルシャン君もびっくりである。

「ナブディーン……なぜ……!」
「事情はエスティニアン殿から聞きました!」

息荒く切り出すナブディーンに、ユウと私、二人で顔を見合わせる。エスティニアンの所用ってそういうことか。マジで人が良い兄ちゃんだ。

「ヴリトラ様、あなたは大昔からずっと、ラザハンを守るためだけに生きてきた……。俺たちを怖れさせまいと、正体を隠してまで。だからこそ、どんな姿であろうと、あなたこそが敬愛すべきラザハンの太守であると、断言できたんだ」

ナブディーンは、アウラ族特有の切れ長の双眸を、いっそう鋭く細めた。

「そんな俺たちが、あなたの幸せを願わないと、本気で思っているんですか? 俺たちなら、大丈夫です。あの終末すら、生き抜いてみせたんだ。少しの間くらい星戦士団だけでも、この国を守ってみせます!」

それは説得力あるわ。ほんと大変だったもんね。
しかし、それでもヴァルシャン君はうじうじしてしまう。

「ナブディーン、君の気持ちはありがたいg」
ええい、うるせえ!!!

ナブディーンの鋭い怒声が工房中に響き渡った。錬金術師の方々がびくーんと本を取り落としたりしている。すみませんね、ちょっとわだかまり消化中なんです。怒声を真っ向から浴びたヴァルシャンも、目をぱちくりとさせて固まっていた。

余韻が収まったあたりで、ナブディーンが深々と息を吐き出す。まぁ、私達以上に、ずっとヴリトラを見ていた彼等の事だもの、そりゃ思う事はひとつやふたつじゃないわな。

「前に言ったよな、”ヴァルシャン”」

ナブディーンのそれは、兄ちゃんの口調だった。

「お前は俺たちの弟分、家族だって。なら、お前の姉ちゃんは、俺たちにとっても家族みたいなもんだ」

彼は、ヴァルシャン少年の前に跪く。



「だからよ、頼ってくれよ……俺たちのことを。何千年も想い続けた姉ちゃんのことを諦めるだなんて、そんなこと言うんじゃねえよ!」

そーだそーだ。ニッダーナも、黙っていられなくなったらしく前に進み出る。

「お姉さんがいる世界に通じる門は、アタシたちが必ず開いてみせます! だから、探しに行ってあげてください……!」

これでも、ダガとかデモとか言い始めたらどうしようと思ったけど、さらに発破かかった。
工房にエスティニアンが黙って押し入って来た。が、口を開いたのは彼ではない。その後ろからひょこひょこっと、二つの人影が現れて、ヴリトラの前に駆け付ける。
メラドと、彼の面影のある小さな女の子。妹さんだろう。メラドは、一生懸命言葉を選ぶように唾を飲み込んだ。

「ヴリトラ様……孤児院のこと、ありがとう。妹と離れ離れにならないってわかって、すごく嬉しかったよ。だからわかるんだ。お姉さんと別れたことが、とても辛いことだって……!」

ヴリトラの目が揺れて、皆を見渡して、そして不意にこちらへと向く。ユウと私の方へ。

「同じ後悔をいつまで繰り返すつもりだ?」

ユウが言った。ヴリトラの目が微かに見開かれて、そして彼は顔を俯ける。手を震わせ、そして固く握り直して。

彼は顔を持ち上げた。揺らいでいた目は、今や固く前を見据えている。

「すまない、みんな。少しの間、ヴァルシャンはこの国を留守にする」

星戦士団の皆の顔が明るく綻んだように見えた。ヴァルシャンは毅然として続けた。

「むろん、メーガドゥータ宮に本体が残り続けるゆえ、完全に不在となることはない。太守としての職務も、最低限はこなせよう。だが、ヴァルシャンを動かしている間は、私の眼が行き届かないことも多くなるはずだ」

そんな時はどうする?

「だから、アジュダヤを連れ帰るまでの間、君たちの力を頼らせてくれ」

助けて、って言うんだよ。

ヴリトラの願いに、ナブディーンを始め、星戦士団の皆は力強く頷いた。

「気をつけて行ってこいよ。前にも言ったが、お前の身に何かあったら、たくさんの奴が悲しむからな」

ヴリトラは淡く微笑み、そして彼等の言葉に応じるように、彼もまた確りと頷いた。

「ああ! 肝に銘じておこう!」


***


めでたくヴァルシャンの決意が固まったところで、エスティニアンがチクった話。
ラザハンの竜大使の連日連夜響き渡る大きな溜息の音で、事情を知らない旅人は天変地異の類かと怯え、ラザハンの民は安眠を妨げられていたとの事。
半分は冗談だろうけど。皆で笑うと、ヴァルシャンはひどくバツの悪そうな顔をしていた。

しかし、今回の影の立役者は、エスティニアンだったわけだ。竜とは色々あったわりに、ヴリトラの事も含めて随分とお節介焼くんだね。
と、ついそう聞いてしまったけど、エスティニアンは静かにこう答えた。

「ニーズヘッグの影を宿した時、俺はヤツの想いを我がものとした。そこにあったのは、人に対する燃える用に熱い怨みと、ラタトスクを失った、凍りつくように冷たい悲しみだ。
もう誰も、あんな想いを抱く必要はない。そのためならば、俺はいつだって、この槍を振るおう」

なるほどね。良い兄ちゃんだねぇ。にひひと笑うと、なんだその笑いは、ってユウみたいな反応をされた。

さてそれから、今後の動きについて皆で少し話し合った。ヴォイドゲートの探索を行うにしても、一朝一夕で終わるものじゃないだろう。できたらヴォイドゲートの近くに拠点を構えたいというヤシュトラの提案に対して、ヴァルシャンが、メーガドゥータ宮に客室を用意すると言ってくれた。
ということで、遺烈郷からラザハンへと各々戻る。

道中のクライアス号の上にて。



こいつ天然なのか何なのかよくわからないんだよな!

ラザハンに辿り着いた時は、すっかり夜になっていた。メーガドゥータ宮に一応足を運んだけれど、そこからは特に進展はなく。客室予定の部屋には案内してもらったけど、宝物庫から運び出した宝物置き場になってたのですぐには使えないし、なんにせよ人造アトモスが完成しないうちは旅も始まらない。
なので、エスティニアンはアトモス完成を待つ間、ヴァルシャン不在中のラザハンを護らなければならない星戦士団の稽古に、ヤシュトラはニッダーナの手伝いをする事にしたようだ。

そして、冒険者チームは一旦ここで解放。ヴォイド探索まで今しばらく、気ままな冒険者稼業に戻る事になった。

「……とりあえず、一旦ここまでか。今回の冒険は」

メーガドゥータ宮を出たところで、ユウがそう言った。予想以上に長い任務?だったなぁと、私は満天の星空を仰ぎながらうんと伸びをする。





なんぞや、と振り向くと、こっちを真っ直ぐに見据えるユウの赤い片目と視線がかち合って、ちょっとギクリとする。

「ラザハンがイヤな理由は、街の極彩色だけなのか?」

…………あー。

内心、ちょっと笑った。可愛いな君。笑顔は出さずに、真顔でしれっと舌を出してやる。



これはほんと。そうか、と呟くユウ。

「……それだけならいい」

納得してるかなそれ。やれやれと、小さく溜息ついて多少言葉を追加する。




いやぁほんと長かったね! と、そこで思い出した。

「ハニーマフィン」

ぼそっと呟くと、ユウが微妙に硬直した。けど、すぐ、彼は溜息をつく。

「……作るか」
「わーーーーーいっ!!」

思わず飛び跳ねちゃった。だってこのためにこの旅路を頑張って来たんだもの! ……まーじで見合わないことこの上ない。いいけど!!

「台所貸すよ! 道具も揃ってるし!!」
「いや、どのみち少し準備が必要だ。ミズンマストで会おう」
「へいへい。じゃ、冒険は一旦おしまーいっと。またあとでね!」

にへっと笑って、テレポで旅立つユウを見送る。さて自分も戻ろうかと思ったところで、ふとメーガドゥータ宮の奥にいるヴァルシャンの姿が視界に入ってきて、心の中でエールを送った。

頑張れヴリトラ。お姉さん、見つかるといいな。
まぁ、手遅れで化け物になっちゃってる可能性もあるけど。

脳裏に、燃え盛る炎をバックに大口を開けた異形の姿がぞわりと蘇る。

我ながら天晴な反射速度で自分の片頬を引っぱたいていた。いてえ。あ、でもなんか潰した。蚊だ。どうりで。幸い刺されずに済んだようだ。良かった良かった。



……さて、戻るか! ハニーマフィンを食べに!
再度伸びをして、テレポを使おうとした途端、ユウから個人パールに連絡が入る。

『そうだ、エデン』
「うい? お砂糖も蜂蜜もあるよ!」
『クルルが言っていた話の件だ』

……なんか言ってたっけ? って、ああ、あれかな。私が聞いてなかったとこ。ラハ君を誘いにバルデシオン分館にユウが向かった時、クルルに、”頼みたいことがあるから、そっちがひと段落したら寄って!”的な事を言われたらしい。

……嫌な予感がする。

『リムサに戻る前に、話だけ聞きに行っておかないか?』
「……ハニーマフィン」
『頼みたいことがある、と言っていただろう?』
ハニーマフィン
『……先にシャーレアンに』
ハニーマフィンが先ですーーーーーーーーー!!!
『……わかった』

これ以上ハニーマフィンの期待値を上げるな!! バカ!!

どうやら次の冒険はすぐ目の前らしい。てか何ナチュラルにクルルの用事にも引っ張り込もうとしてるんだ。
ハニーマフィン一個じゃ絶対足りないからな、覚えとけよ!

ムキャーとなりながら、とにもかくにも、リムサへと戻ったのでした。





新たなる冒険、一旦おしまい。






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ちなみにユウはちゃんとハニーマフィン作ってくれました。
旅装姿のまま作ってくれたハニーマフィンは、とってもあまくておいしかったです。作文。




一応会話録も。






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