みなさんこんばんは。ド変態のXionです。
少しずつ季節が秋らしくなってきましたね。この肌寒さを感じる気候になると、私の寒いギャグも一段と寒さを増したように感じる今日この頃です。
さて、最近の私はというと、暁月編のストーリーを少しずつ進めていました。フェローシップ(FS)のメンバーの好意もあり、最初のIDであるゾットの塔をFSメンバーのみんなで攻略しようと予定を立てていたのですが、運悪く私の仕事が長引いてしまい、結果的にドタキャンしてしまうことに…。FSの掲示板に謝罪の言葉を書き込みはしたのですが、やはり直接謝った方がいいかなと思い、FSのサブリーダーであるユーキさんに会いに行くことにしました。
フレンドリストからユーキさんの位置を調べると、どうやら海都リムサ・ロミンサにいるようなので、早速テレポで向かうことに。エーテルの流れから身を起こした私がゆっくりと目をあけると、そこはいつも通り活気に溢れたリムサのエーテライト前。
下甲板層の中心に位置するこの広場には、海から吹き込む潮風とそれに負けない熱気が渦巻いています。冒険の成果について談笑する者、一心不乱にハンマーを振り上げクラフターに精を出す者、何かめぼしい出品はないか確認しようとマーケットボードの前に群がる者。貿易都市のリムサは相変わらず、多くの冒険者達で賑わっていました。
この広いリムサの中から探すのは大変そう……と思いながら、オレンジ色のネームプレートを持つララフェルの姿を探します。キョロキョロと辺りを見回しながら人混みをかき分けていくと、エーテライトから少し離れたところに、こちらに背を向けた、見慣れたプレーンフォーク──ユーキさんの姿がありました。
(──いた!)
ユーキさんを見つけた私は、小走りで近づきました。
「こんばんは! やー、すいません。この前はドタキャンしてしまって……って、ユーキさん……?」
私が声をかけるやいなや、ユーキさんはその場に頭を抱えながら座り込むと、なぜかガタガタとふるえ始めました。突然の行動に面食らってしまった私は、「ユーキさん?」ともう一度声をかけますが、ユーキさんは私に背を向け、座り込んだまま動こうともしません。そして絞り出すように声を上げました。
「……お願い。た、食べないで……!」
…
……
………いつから私は寄○獣に!?(汗) 思わず心の中でセルフツッコミをいれる私。「なぜ私がユーキさんを食べるんですか(汗)」と、端から聞いていると少々アブナイセリフを放つ私ですが、一方のユーキさんは、それには直接答えることなく、しゃがみ込んだまま遠くの方を指さします。
「……ほら、あそこにも仲間がいるから」
ユーキさんが示した方に視線を向けると、そこには金髪を短く刈り上げ、動きやすそうな軽鎧を身にまとったサンシーカーの女性──FSメンバーの一人、パティさんの姿がありました。
「──あ、パティさん!」
久しぶりにパティさんに会えてテンションがあがった私は、先ほどのユーキさんの奇行もすっかり忘れ、急いで駆け寄ります。そんな私に気づいたパティさんは、柔らかい笑みを浮かべると、軽く手を振って応えてくれました。
「──Xionさん!お久しぶりです。」
「こちらこそ。パティさんこそ、お元気そうで何よりです」
偶然の再会に喜び合う二人。お互いの息災を確認した後、話題は近況報告に移りました。最近の出来事に会話が弾んでいると、ふと横から聞き慣れた声が聞こえてきます。
「──会話が盛り上がっている横から申し訳ないんだけど、そろそろ立ち話も何だし、よかったらウチのFCハウスに来ない?」
声がした方に視線を向けると、悪戯っぽくニッと笑みを浮かべたユーキさんがいつの間にか立っていました。聞いたところによると、ユーキさんたちのFCハウスは主にパティさんがハウジングを担当していて、そのハウスがつい最近完成したとのこと。お披露目も兼ねてのありがたい招待に、思わず笑顔になり二つ返事で応える私。
「それじゃあハウステレポで飛んできてね!」
そう言い残すとユーキさんとパティさんは、淡い光の粒となって一足先にテレポで消えていきました。慌てて後を追いかける私。光から抜け出た私は、エーテル酔いを覚ますように軽くかぶりを降ります。そしてゆっくりと目を開けると、そこは豊かな緑に包まれたハウジングエリア──ラベンダーベッドでした。
深呼吸をすると、森の奥から運ばれてくる霧と木々の匂いが混じった、気持ちの良い香りが胸の奥に入ってきます。
「──Xionさん、こっちですー!」
声のする方を見ると、そこには大木と見事に一体化したような、どこかノスタルジックな雰囲気を持つ、おとぎ話にでてくるようなカントリー様式のハウスがありました。
私がゆっくりと門をくぐると、その先には手入れの行き届いた広い庭が広がっています。右手には、星の観測でもするのか、精巧な望遠鏡をこしらえた観測台がおいてあり、そのすぐ横にユーキさんとパティさんが立っていました。
「ようこそ! 我がFCハウスへ!」
少しおどけた様子で歓迎してくれる二人。
「すごい立派なハウスですね…!」
私の
語彙力のカケラも感じられない素直な感想を聞いたユーキさんは、笑いながら口を開きます。
「全部パティが作ってくれたんだよ──そうだ、せっかくだし見晴らしの良い屋上のテラスで話そうか」
ユーキさんはそう言うと、パティさんに何かを促すように目配せをします。その意図をくみ取ったのか、パティさんは小さく頷くと、屋根に届くような階段を取り付けました。
(一体どこにテラスがあるんでしょうか……?)
いぶかしげに屋根の方を見上げますが、見えるのは豊かな緑の隙間からのぞく木漏れ日ばかり。疑問でいっぱいの私を横目に、二人は軽やかに階段を、そして傾斜のついた屋根を駆け上がって行きました。遅れじと私も二人の後に続きます。
赤い屋根を上がった先に広がる光景に、私は思わず足を止めました。そこには、ハウスの一部となっている巨大な木の幹に、せまい足場が階段状に打ち付けてありました。
「この足場を登り切った先にテラスがあるよ」
ユーキさんはそう言うと、軽快なステップで足場を登っていきました。続いてパティさんも危なげなく狭い足場を駆け抜けていきます。
「Xionさん! こっちこっちー!」
笑顔で手招きしてくれるパティさん。そんなパティさんの笑顔とは対照的にひきつった笑みを浮かべる私。
……何を隠そうこの私、アスレチックが大の苦手なのです。
──そう、あれは忘れもしない、初めてモグコレでアスレチックに参加した日のこと。
フレンドに誘われ、「ま!楽勝でしょう!」という根拠のない自信で参加した私でしたが、開始3分でその自信が木っ端微塵に砕け散ることとなりました。
何回チャレンジしても、1/3も登り切れない私。今度こそ!という私の意気込みは清々しいほどに空回り、自信と共に私自身も地面に落下していきます。あまりに落ちすぎたせいで、「これは足場が勝手に動いているに違いない!」と、責任転嫁というダークサイドに堕ちかけた私ですが、結局途中で登り切ることをすっかり諦めてしまいました。
時間を持て余した私は、「おぉっと、挑戦者。ついに最後の難所にさしかかりました! さあ、最後のジャンプは見事に栄光への架け橋となるのか!?」と、誰も頼んでいない適当な実況中継をしていたところ、集まったのは賞賛の視線ではなく、「何をやっているんだろう、この人は」という、可哀想な人を見るような生暖かい視線でした。
「──Xionさーん!?」
遠くから聞こえるパティさんの声に、過去の楽しい思い出…もといトラウマからハッと我に返った私は、「今行きまーす!」と精一杯叫ぶと、過去のトラウマを払拭すべく、足場へと向かって一歩を踏み出しました。
改めてじっくりと足場を見ると、トラウマを作ってくれたあのアスレチックよりも随分と幅があり、多少の余裕が感じられます。
(これなら大丈夫……! 私は落ちない、落ちない、落ちない…!)
トラックの荷台に乗せられ、初めての戦場に向かう新兵のように、自分にブツブツと言い聞かせる私。意を決して足場に向かってジャンプすると、
ドシンギシリという乾いた音と共に、見事に足場に着地成功です。
(──いける!)
1段登っただけで自信がついた私は、次々とテンポよく足場を上っていきます。そして、ようやくテラスの縁が見えた私は、「もうすぐゴールですね!」と気が急き、一気にテラスの床まで飛び移ろうと大ジャンプを試みますが、それがまずかったのか、私の
可憐な足が空を切り、バランスを失って地面へと落下してしまいました。
「し、Xionさーん!!」
「えっと…落ちるようなところあったかな…?(汗)」
テラスから驚くパティさんと、予想外の光景に苦笑いを浮かべるユーキさん。
全身に付いた土を払い、気を取り直して再チャレンジする私ですが、最後のテラスへの段差でまたもや
華麗に落下してしまいます。
「あぁ…うん。どうやらギャグで落ちてる訳じゃなさそうだ…」
「違いますよー!(汗)」と抗議の声をあげながら、三度目の正直で再び屋根を駆け上がる私。そして二人のアドバイスを受けながら、一歩一歩確実に足場を上って行きます。そしてついに最後の力を振り絞ったジャンプでテラスへと到着!
「おめでとうー!」
待ち構えていた二人の拍手に包まれながら、私は息を整えながらぐるりと辺りを見回しました。そこには大木のうろの中に、床木を張り付けるようにして出来たテラスが広がっていました。
周囲の木々が自然のサンシェードとなり、床に優しい影を落とします。その影の合間に、小さなテーブルセットが置いてありました。
パティさんに勧められるまま、その椅子に腰掛けた私は、大きな深呼吸をしました。ラベンダーベッド特有の森の香りが入り混じった空気が、胸の中を満たしてくれます。
高さがあるせいか、湿り気の混じった冷たい風が私たちの間を吹き抜けますが、汗ばんだ私の肌にはちょうどよく、ゆっくりと汗が引いていきました。
「良いところですね…!」
思わず漏れ出た私の素直な感想に、満足そうに笑いながら頷くユーキさん。
「でしょ? ラベンダーベッドの雰囲気いいよね。この時間帯だと、あの向こう側の空に花火も見えるよ」
ユーキさんが指さす方を見上げると、「どーん」という大きな音と共に、FF14のマークをモチーフにした花火が見えました。どうやら新生祭の期間は花火があがるとのこと。
緑の香りに包まれた土地に、時折訪れる花火の音。
改めて良い場所だなぁ……と思った私は、心からの感想を口にします。そんな感想を聞いた二人は、静かに笑いながら頷いてくれました。
「────さて、そろそろハウスの中に入ろうか」
遠くから聞こえる花火の余韻を楽しみながら、半時間ほどテラスで話し込んだ私たちでしたが、ユーキさんのその一言をきかっけに、改めて玄関の前に戻りました。
「お邪魔しまーす!」
緊張と期待の入り混じった思いで、堅いノブに手をかける私。深い息で一息つくと、ゆっくりとノブを回しました。
───ギィ
乾いた音とともに、ゆっくりと開かれるドア。
そして扉をくぐった先には、暖かい素敵なハウジングの世界が広がっていました。
まず私を最初に迎えてくれたのは、碧色の床とよく調和する青色を基調にした長テーブルとソファーのセット。その左手には、交流帳がおかれている台があり、奥には直立不動の姿勢を崩さないバトラーの方がいました。視線が合うと深々と会釈をしてくれるバトラーに、あわてて会釈を返す私。反対側に目をやると、誰かの趣味なのか、黒く艶やかな色を放つグランドピアノが鎮座していました。
決して派手な印象は受けませんが、家具の一つ一つが吟味され、的確に配置されたその感じの良い雰囲気に、一目で気に入ってしまう私。
そんな私を見たパティさんは嬉しそうに
「2階もありますよ! 是非見ていって下さいね!」
と、弾んだ声で階段を上っていきます。続いてユーキさんも2階へと消えていきました。
先に2階に上がった二人を追いかけるようにして、私も右手にある階段を上がっていきます。
(どんな感じになっているんだろう?)
胸の奥で高鳴る高揚感を押さえるように、ゆっくりと階段を上っていく私。そして登り切った先の光景が私の目に飛び込んでくるやいなや、私の口から自然と感嘆の声が漏れでます。
「うわー…!」
赤くぱちぱちとはぜる炎を蓄えた暖炉の前に、バスケットが置かれた長机がおいてありました。その前にはちょうど4脚の椅子が行儀良く並んでいます。きっと、冒険から帰ってきた仲間たちが、暖炉の温かさに包まれながら楽しく談笑しているのでしょう。
反対側に目をやると、天窓から差し込んだ光が、床にわずかに歪んだ四角を描いてました。奥には、白いフロアソファが正方形に並べてあり、真ん中に丸テーブルが置かれています。テーブル上のキャンドルライトが、周りに淡い陰を作っているのが印象的でした。
「ここは……?」
ふと周りを見ると、スラット・パーティションで区切られた半個室のような空間が、合計4つ広がっています。
描きかけの絵を支えているイーゼルが置かれたアトリエ風の部屋、ベッド代わりのベンチプレス台とダンベルラックが置かれたトレーニングルーム、そして色とりどりの花が飾られた鮮やかな部屋など──。
どの部屋も個性豊かで、見ているだけで楽しくなってきます。
「どう、かな──?」
いつの間にか私の横に立っていたパティさんが、期待と不安が入り混じった表情で、おずおずと訊いてきました。見るのにすっかり夢中になっていた私は、パティさんの声で我に返ると、自分を引き戻すかのように口を開きます。
「いや、ほんとにすごいですね。ここにいるだけで、楽しい気持ちになりますよ…!」
月並みな言葉。ですが、私の本心からの言葉です。その言葉を聞いたパティさんは、ぱっと顔を輝かせ息を弾ませました。
「ほんと!? ありがとう! そう言ってもらえて嬉しい!」
「──良かったね、パティ」
嬉しそうに頷きながら声をかけるユーキさん。
そんな二人を見ていると、こちらも幸せな気持ちになってきました。
(──それにしても)
改めて、部屋の中を見回す私。
(一体どうやったら、こんなにも優しい素敵なハウジングが出来るのだろう?)
私も自分のアパルトメントがあるので、ハウジングにチャンレジしたことはあるのですが、ただ家具を並べただけの無機質な空間になってしまい、ここまで暖かさを感じるような内装にはなりませんでした。
センスや慣れ。そんなありきたりのことが大切なのかもしれませんが、それだけでは説明できない何か──他に何かコツのようなものがあるのかな、と思った私はパティさんに尋ねました。
パティさんは、しばらく視線を宙に這わせながら考え込んでいるようでしたが、やがて考えがまとまったのか、柔らかい笑みを浮かべました。
「そうですね、私は──」
一言一言、ゆっくりと言葉を紡ぎ出すパティさん。
「────使う人の姿を思い浮かべながら、作っています」
『使う人の姿』
その言葉がストンと腑に落ちた私は、ゆっくりと後ろを振り向きました。
果たしてそこに見えたのは。
──暖炉の前で、冒険の成果について楽しそうに酒を汲み交わす仲間たちの姿。
──次の冒険に備えて、汗を流しながらトレーニングに励む姿。
──冒険の記憶が薄れる前に絵に書き残そうと、真剣な眼差しで絵筆を振るっている姿。
そこにいないはずなのに、それぞれの場所で生き生きと振る舞っている冒険者達の姿が見えたような気がしました。
「使う人の姿を考えながら作っている……本当に良い言葉ですね」
自然と私の口から漏れ出た感想を聞いたパティさんは、つま先で床をトントンと鳴らすと、はにかんだ笑みを浮かべながら「ありがとう」と返してくれました。
思えば、私のハウジングが上手くいかないのも、ただ内装の完成型だけをイメージしていたからかもしれません。そこの住む人がどのように動くか、どのように生活しているのかを意識することが、ハウジングにおいて大事なのでしょう。
同時に。この細部にまで優しさに溢れた温かい空間から、パティさんがいかに仲間たちのことを思いやり、そして大切にしているかということが、自然と伝わってくるようでした。
素敵なハウジング、そして幸せな時間を作ってくれたパティさんとユーキさん、本当にありがとうございました。またぜひ一緒に遊んでくださいね!