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Yuki Nekomiya

Chocobo (Mana)

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小話: 最期の晩餐

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漆黒5.0以降のネタバレがあるので、未クリアの方は閲覧注意。
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 静かな……とてもとても、静かな夜だった。夜というには、気が狂いそうなほど柔らかい光が限りなく降り注ぎ、安らげる闇なんてどこにもないけれども。
 ぱちりぱちりと薪が時折爆ぜる音しか、ここにはない。虫の音も、木々の葉擦れる音も、草が柔らかく揺れる音も……仲間たちの寝息ですらも、無い。
 焚火の向こう側、横たわる仲間たちの影にちらりと目をやり、アルバートはそろりと立ち上がった。無意味だとわかっていても、足音を忍ばせて近寄り、様子をうかがう。身じろぎ一つ、寝息ひとつたてない姿に、詰めていた息を静かに深く吐き出した。
(良かった)
 死んだように眠っている――否。
 眠るように死んでいる彼らに、苦悶の色は見えない。苦しまないか、それだけが懸念だったけれど、確認できたのなら、あとはもうやるべきことをやるだけだった。
 何もかもが死に絶えたように静かな、けれどもついさっきまではとても楽しい夜だった。
 焚火をしようと提案したのは自分だ。あかりなんて必要ない世界になり果ててしまったけれども、それでも気分を盛り上げるのには必須だ。実際、柔らかく揺れるオレンジ色の炎とほんのり伝わる熱は、心の内側をじんわり温めてくれるようだった。
(楽しかったな)
 いつもなら「酒はひとり一杯まで!」と口うるさいラミットは、今日ばかりは遠慮するなと無制限にお代わりの許可をくれた。逆に、毎日毎日、ラミットと酒量について口喧嘩していたブランデンは、いつものように一息に最初の一杯を飲み干した後は、珍しいことにたった一杯のおかわりを大事そうにゆっくりと飲んでいた。
 最期の晩餐に相応しい獲物を、と張り切ったレンダ・レイは、宣言通りかなりの大きさのオヴィムを仕留めてくれた。たっぷり脂の乗ったオヴィムの肉は、焚火でじっくりとあぶり、塩を軽く振っただけでも十二分に美味く、みんなで舌鼓を打った。
 いつも、仲間たちの輪の半歩だけ外側で静かに眺めていたナイルベルトも、今日ばかりは少しばかり内側に踏み込んでくれた。これまでは、どれほどブランデンに勧められても頑なに固辞していた酒を初めて舐めるように飲んで、直後、盛大に咽ていた。ひとしきりせき込んで涙目になったナイルベルトの姿は意外なものだったし、そのあと気を取り直して、「詫びの余興だ」と見せてくれた魔法の花火は胸を打つ美しさだった。アム・アレーンの白い砂の上に生み出された小さな花は色鮮やかで、できることなら濃紺の夜空に咲く花火を見てみたかった、と少しだけ贅沢なことを思った。
(楽しかった)
 じんわりと、噛みしめる。
 今日という日を「楽しい日」にしようと、誰が言い出したわけではない。ただ、自分だけではなく、自然と皆がそう思ったようだった。今日を楽しいものにしようと――楽しい日々は、今日が最後なのだと。そう覚悟をして。
(あぁ、いい旅だった)
 悔いはある。悲しみも苦しみも、人を憎んだことだってある。それでも、楽しかった。楽しい旅だった。たとえ此処に行き着くのだとしても、此処に至る選択が過ちだったのだとしても。
 もっといろんな場所を巡りたいと今でも思えるほどにこの世界は美しく、もっと彼らと旅を続けたかったと思えるほどに楽しい旅路だった。
 だからこそ、その思い出は肉体とともに此処へ置いていこうと、そう思っている。これより歩むのは、己の世界のために異なる世界の人々を犠牲にしようという、堕ちた道行きなのだから。
「……さて、と」
 あいつらをあんまり待たせちゃ悪いからな、そう独り言ちて、アルバートは傍らに置いてあった戦斧を手にした。しばらく使っていなかったものの、かつて愛用していた得物は、今でも手にしっくりと馴染む。それなりに重量のある戦斧を軽々と持ったアルバートは、刃近くの柄を逆手に握り、鈍く光る刃の先を首筋にそっとあてた。
 刃だけでなく手にした柄からも、ぞわぞわと怖気をふるう気配が漂ってくる。それこそが封印していた理由で、今選んだ理由でもあった。
「信じてるぜ……!」
 先に逝った仲間たちを――それから、今も刃にこびりつき残された『影の王』の殺意が、必ず自分を嚙み殺すと信じて。
(……ッ!)
 躊躇は一瞬。きつく奥歯を嚙みしめて、一呼吸のち、勢いよく戦斧を引く。鋭い切っ先は過たず首筋を深く抉り裂き、鮮血が噴き出す。
 痛みはなかった。次第に薄れゆく視界の中で、先に逝った仲間たちを最期まで見ながら、そうして。

 『闇の戦士』はゆっくりと閉ざしていた双眸を開けた。足元に横たわる亡骸に目を落とすことはない。それはもう、捨て去った過去そのものだからだ。ただ、先に待っていた仲間たちに短く告げる。
『……待たせたな。いこう』
 世界のために世界を滅ぼす、その覚悟だけを携えて。

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