さて、4月1日ですね。エイプリルフールですね。
嘘、というと、今まで嘘を言われた内容の中にひとつだけ、この嘘を越える嘘はなかなか無いだろなーって嘘があって、今でも鮮明に覚えてます。
私が3～4歳の時かな。お姉ちゃんがこう言ってきたんだ。
「あなたはチョコボの卵から産まれたのよ」って。
もちろん私は、そんなの嘘に決まってるでしょって言ったんだ。でもね、お姉ちゃんは笑って続けたんだ。
「嘘だと思うなら、おばあちゃんに聞いてごらん。パルが産まれたときのチョコボの卵、だーいじに取っているから」
あまりにもあっさりと笑って言うから、さすがに動揺したんだ。
で、慌ててひとり、おばあちゃんの所に行って聞いたのさ。
「おばあちゃん！ おばあちゃんの家に、チョコボの卵なんてないよね！？」
そしたらすっごく言い笑顔で、「うん、あるよー」って返された。
あの衝撃はまさしく、雷が落ちる、って言葉だっただろうね。当時の私。
ここでおばあちゃんの名誉の為に言うんだけど、別におばあちゃんはお姉ちゃんと共謀して、私に嘘をつこうとした訳じゃないんだよ。
昔おじいちゃんがグリダニアへ旅行しに行った時の記念で、チョコボの絵が描かれたチョコボの卵＝お土産をね、おばあちゃん大事に取っていたの。
その事実をおばあちゃんは応えただけなんだ。
さらに言えば、お姉ちゃんが私に嘘を吐いたとき、周りには誰もいなかった。
私がおばあちゃんに確認しにいたっとき、お姉ちゃんを置いていった。
だからね。
「おばあちゃん！ おばあちゃんの家に、(私が産まれたっていう)チョコボの卵なんてないよね！？」
「うん、(おじいちゃんが旅行先で買ったチョコボの卵が)あるよー」
って言うべきだったんだ。
お姉ちゃんが別に意図して作った訳ではない策が出来上がってしまい、「私はチョコボの卵から産まれたんだ……」って私は塞ぎ込んでいた。
その嘘信じてしまったからさ、夢を見るようになったんだ。
お父さんがこじんまりとしたお店に入って。お店のカウンターに、ピンクの卵と水色の卵がそれぞれ同じ数が並んでいてさ、その卵の横に、それぞれ細長い棒が飾られてあって。
お父さんがじっくりと卵を見て、「この『パル』っていうピンクの卵をください」っていうのに、お店の人が「あいよ！ 500ギルだよ！」って売り買いして。
チョコボの卵を持ち帰ったお父さんが、目玉焼きを作ろうとして割ったら、私が産まれたっていう、夢。
自分の産まれた経緯についても、夢について誰も言わずに、2年くらいかな。ずっとその嘘を信じていた。
お姉ちゃんも嘘吐いていたの忘れたからね。誰も知らないんだよ、私が「お父さんとお母さんから産まれた子どもじゃない」って抱え込んでいること。こんな密室トリックみたいなのいらなかった。
何かの拍子に、お母さんが私を産んだときのこと話してくれて、通常なら感動するのだろうけれど。私の第一声は「私チョコボの卵から産まれたんじゃないの！？」って叫んだ。あの時はほんとごめん、お母さん。
お姉ちゃんは「ああ、あの嘘信じていたんだ」って思い出して大爆笑。笑い事じゃないと、いつも見ていた夢話をしたら、さらに姉は笑った。
今では、笑い話だけど、あんなタイミングが合って神がかり的になった嘘は、たぶんきっとこの先ないだろうなぁ、って話。
