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【小説】Sorrows #1

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★★ 注意書き ★★

なぎ節すぎて日記に書くこともあんまりなくなっちゃったので
ひっそりと、ちょっと長めの小説の冒頭を上げてみる。
たぶん全5話くらいになるんじゃないかと思う~!
続き読んでみたいかもって思ったらいいねしてください♡


-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ア・クオ・ティアが生まれたのはエオルゼアではない、イルサバード大陸南部の辺境にあるミコッテ族の小さな集落だ。狩猟と農耕で自給自足しながら細々と暮らすような場所だった。
ア族の族長(ヌン)は保守的で、今の生活を守ることがア族を守ることだと信じていた。必然、ア属のオスは農耕に精を出し、現ヌンの後継にならんと体術を極める生活を送っていた。
クオはそんな生活にうんざりしていた。澱みの中にいるようだと感じていた。
元来、ミコッテサンシーカー族のオスは巣に籠ることを好むとされている。これはサンシーカー族の極端に偏った出生率に依るものだ。圧倒的に人数の少ないオスは、徒に命を落とすことの無いよう、保守的になる本能がある。

「お前は、村に留まるタイプじゃないな。きっといつかこの場所を出てでかいことをする」かつてクオにそういったア族がいた。
村を出て行くと言う選択肢がクオの中に生まれたのはこの言葉がきっかけだった。
考えもしない発想だった。村を出てもいいのだと思ったとき、クオの中で霧が晴れて目の前に途方もない景色が広がったように感じた。
クオの視野を広げたア族はしばらく後に村を出て行った。エオルゼアに向かうと言っていた。同じ思いを抱えていたのかと、感慨深い想いでクオは旅立つ彼の背中を見送った。

自分もエオルゼアに行こう。エオルゼアに行けば何かが開ける。あの日、村を出た彼の背中を見た時からずっと心にその思いがあった。3年後、クオは後を追うように村を出た。
クオの未来を予測したあのア族、ア・アバ・ティアを探そうかとも考えたが、彼が村をでたあとどこに向かったのかすらわからない以上探しようもなかった。キャリッジを乗り継ぎ、手持ちも尽きかけた頃にたどり着いたウルダハという都市で、かろうじてゴロツキではなく傭兵と呼んでもらえるような地位を手に入れられたことは比較的ましなものだと気づくのには数か月を要した。

ただ日銭を稼ぐだけの自分と、村にいた自分、あまり変わりのない生活に若干の焦りを覚えていたクオが転換期を迎えたのは、抜けるような青空が広がる快晴の日だった。
ブラックブッシュで適当に請け負った仕事をしに、指定場所に着いたクオを待っていたのはミコッテサンシーカー族のメスだった。
「どーもおー!海雄旅団のペ・エバローだよ!よろしくね」のんきな挨拶に面喰いながらクオが名乗ると、ミコッテのテンションが1段階上がったようだった。
「あんた、ア族なんだ!アバってやつ、知ってるか?」
「…知ってる」
「以前、一緒に仕事をしたんだ。あんなに強くて芯のある戦士なかなかいない!今どうしてる?」
「…そんなこと、俺が聞きたいよ」
つっけんどんなクオの答えに、ペ・エバローはややトーンダウンして、そっかと引き継ぐと表情を切り替えて仕事の話に入った。

その日の夕刻、仕事を終えたクオの横にグランチョコボを引いたエバローが立った。
「な、ア・クオ、あんたウチの旅団に入らないか?あんたは腕が立つ。だけど、このままじゃあんたはダメになる。サンシーカーのオスはめったに会えないしな、なんか他人な気がしないんだ。悪いようにはしない」
着いていくべきだとクオは思った。今、ここで行かないと後悔すると直感で感じた。
「…頼む」
クオの返答に、エバローはチョコボに騎乗しながら破顔した。
「あんたにオドを紹介するよ!サンシーカーのオスだ!あんたはオドに従ったらいい」
そういうとエバローはクオの腕を取って自分の後ろに引っ張り上げた。
クオはその腕に澱みから引き上げられたように感じ、チョコボの背に乗りながら青空を振り仰いだ。
空が綺麗な色をしていたことにその時に初めてクオは気付いた。


海雄旅団は何でもない事のようにクオを受け入れた。
名前も分からない相手から親しげに肩をたたかれ、宴会の輪に入れられ、杯を交わした。
旅団は傭兵集団ではあったが、団長のもとで部隊の体をなしていたため、これまでとは比べようもない大きな仕事に関わるようになった。
ア族の村は族長の圧倒的トップダウンによる組織で、ただ流されるままだったクオにとって、旅団の生活は驚きの連続だった。
トップの団長がすべてを決めるのではなく、その下に五傑集と呼ばれるナンバー2達がいて、五傑集を介してクオのようなメンバーも団長に意見を述べることが出来た。
むしろ意見を出すことを求められた。自分で考え、自分で道を拓いていくのが当たり前の世界だった。
そんな生活の中でクオの中にぼんやりとした何かが生まれた。
目標と呼ぶにはぼんやりしすぎていて自分でもつかみにくかったが、自分にしかできないことだと思った。
何かは全く具体的ではなかったが、とにもかくにも先立つものは必要だと思った。
そんな思いを抱えながら、その日、クオは辺境のサハギン族の討伐任務に向かった。


「全部片付いたか」
五傑集の一人でクオの面倒を引き受けてくれた、ウ・オド・ティアが周りをみながらつぶやいた。
オドの指揮下で討伐にあたっていたメンバーはその声に各々剣を納めた。
クオも剣を納めると、なんとなしに足元に倒れたサハギン族を見た。
身体の下に何か光るものが見えた。
引っ張り出してみるとカードだった。サハギンがあしらわれている。
「クオ、なにみてるのー?」横にいたエバローが弓を背中に背負いながら覗き込む。
クオは足元のサハギン族を見やってからエバローに視線を移す。
「…なんか、コイツがもってたんだよな、これ」
「トリプルトライアドのカード?」
「…そうみたいだな」
へぇーと呟きながらエバローはクオの手からカードを取り上げる。さして興味なさげにエバローとその手のカードを一瞥したクオは無言で歩きだす。エバローもあわてて後を追った。


「なんだ、クオお前、遊戯に興味あんのか?」
アジトに戻ったオドは、エバローから受け取ったカードを矯めつ眇めつしながら、口の端に皮肉のスパイスを振りかけて言った。
「…あるわけねーだろ」
「儲かるらしいぜ、このちっこいカードがよ」
「…」
そのセリフにコンマ数秒の反応を示したのを見逃すオドではなかった。
「お前、金必要なのか?店でも開こうってのか?」
「…うるせ」
「ミコッテってやつは商売なんかむいてねぇ。そんなのはちっこい奴らに任せりゃいい」
「…だからちげーよ。ただ、俺は…その、あいつらに外を見てほしいんだよ。それには金がいるから…」
珍しく声のデシベルを上げたクオに部屋の反対で武器の手入れをしていたエバローも顔を上げた。
「あいつら?」
「…俺の…、ア族の村のやつらだよ。狭いんだ、世界が」
オドの問いかけに答えながら、いつも抱えていた何かが形になって行くのをクオは感じた。
「呼ぼうってのか?エオルゼアに」
「…いや、ちげーけど。そんな金用意できねーし。俺の村さ、夜になったら真っ暗なんだ。ガスなんて扱ったこともねぇ。このまんま朽ち果てんじゃないかって。ひでえだろ」
「おっどろいたぁ!クオにも郷土愛あるなんて知らなかったよ!」
眼を見開くを体現しながらエバローが口を挟んできた。
「エバロー、おめえにはわかんねぇだろうがなぁ、サンシーカーのオスほど故郷への帰属意識の強いモンもいないもんだぜ」
「オド、それって雌雄差別」
言いながらもエバローの眼には理解の色が広がった。エバロー自身はペ族の集落を知らないが、母親から聞かされた話からサンシーカーの生態は知っている。ミコッテは母親の種族に準じて産まれるため、エバローはミコッテだが父親はルガディンだ。だから触れることがなかったサンシーカーのオスの生態を目の当たりにしたことに胸の奥に小さなとげを感じた。
族長以外のミコッテのオス、すなわち族長候補のミコッテはティアと呼ばれる。オドもクオもティアだ。
集落を出たティア達は必要以上に「孤独」に苛まれるという。実際、集落をでるティアは少ないのだろう。エオルゼアで見かけることは殆どない。
「そっかぁ、けど呼ぶんじゃなきゃどうするつもりなの?」
「…ランプを送ってみようかと」
クオは部屋の隅で申し訳程度に可視性をあげている年代物のランプを顎でしゃくった。
ふと思いついたことだったが、もう何年も前から決めていたような気もした。
ランプがあれば、寝るしかなかった夜にできることが増える。
実際にできることなどたかが知れているかもしれないが、世界が変わることを体験してほしかった。
「なるほどなー。あんたでもいろいろ考えてるんだ。けど、傭兵の稼ぎじゃ知れてるよね」
エバローは上を仰ぎ見ながらひとりごちた。
「やってみりゃあいいんじゃねーか、この一攫千金」
オドはそういうと、トリプルトライアドのカードをひらひらと振って見せた。
「…ギャンブルは性にあわねんだけど」
人生がほぼギャンブルのクオがそう返すと、オドは片眉を吊り上げてシニカルに笑った。
「やるほうじゃねぇ。撮る方だ」


(続く)
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