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Miina Sakakura

Lame de la prairie

Masamune [Mana]

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名無しの少女

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息が詰まりそうなほど狭いチョコボキャリッジの中で、ガラの悪い大男がぼやいた。

「イヤリングの方は幾分かマシそうだが、このネックレスは安物だなぁ…。こりゃ換金は期待できんか…。」

少しだけ開けた窓から射す光。
そこに照らしながらアクセサリーを鑑定しつつ、大男はため息をつく。

「返して!! 私の宝物なの!」

奪われたアクセサリーを取り返そうと、肌の白い少女が飛び掛かった。

「うおっ!」

小柄な娘の反撃など予想だにしていなかったのか、不意を突かれ、驚いた大男はのけぞった。
手にしていたイヤリングとネックレスは、チョコボキャリッジの外に放り出されてしまった。

「こいつ! 何しやがる!」

容赦ない平手が少女の頬を打ち、声を上げることもできなかった少女は、壁に頭を打ちそのまま崩れ落ちた。

「おいおい、商品を乱暴に扱うんじゃねぇよ…。」
「おっと、そろそろ門番が金を掴ませた奴に交代する頃合いだ。さぁ、行くぞ。」

一見人の良さそうな御者が、ドスの効いた低い声でそういうと、毛並みの良いチョコボに鞭を入れた。
ササガン大王樹の木陰で潜んでいたチョコボキャリッジが、サゴリー関所に向けてゆっくり動き出した。

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気が付くと私は、賑やかなウルダハに立っていた。
普段から賑やかだけども、いつも以上に賑やかなウルダハ。
見渡せば、綺麗に着飾った女の子たち。私と同い年くらいだろうか。
そしていたる所に桜の木。
少し離れたところからは、綺麗な歌声と、賑やかな声援が聞こえる…。

そっか、プリンセスデーなのね…。

毎年楽しみにしていたプリンセスデー。
でも、なぜか、今は大きな不安がどこからか襲い掛かってくるように感じてしまう。
そういえば、プリンセスデーの日には一緒にお出かけしていたパパもママもいない。

襲い掛かる不安から身を守るように、ふと胸元に手をやって、気が付いた。
パパがくれたネックレスが…ない。
ママが譲ってくれたイヤリングもない。
どっちも私の大事な…大事な宝物。

どこかで落としてしまったのか…。慌てて周りを探す。

カラフルな衣装を身に纏った、3人組のお姉さんが素敵な歌を歌っている。
膝をついて首を垂れるパパを見て満足げな女の子と、幸せそうに見つめるママ。
お姫様のようなフリフリ衣装で、仲の良さそうな女の子たち。

そんな幸せそうなプリンセスデーの風景に胸を締め付けられながら、私は失われた宝物を探し回った。

ウルダハの街を駆けまわるうちに、記憶が…
「忘れていた」ことさえ忘れていた、記憶がよみがえってきた。

そうだ…宝物はこの門の向こうに…。

宝物の在処を思い出した私は、ナル大門で立ち尽くしていた。

この門の向こうにあるのは分かっているのに、街の外に踏み出すための、その一歩が出ない。

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ふと、後ろから声をかけられて振り向いた。
そこには凛とした、それでいて温かい雰囲気の人が立っていた。
通りすがりの冒険者だというその人に、大事な宝物を探していることを伝えた。
なぜだろう、ここまで誰の力も借りようとは思わなかったのに、この人には素直に伝えることが出来た。

その冒険者さんはやさしい微笑を浮かべながら、私の宝物を探しに行ってくれるという。何の躊躇もなく。

私は、冒険者さんにネックレスとイヤリングが落ちているであろう場所の特徴を伝え、ナル大門を駆けてゆく姿を見送った。

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親切な冒険者さんの帰りを待つ間、周りのプリンセスデーの様子を眺めていた。
私が知っているプリンセスデーとは様子が違う…。
そんなこの場の違和感と、よみがえった忌々しい記憶で、私は混乱していた。
私はなぜここにいるのか…
いや、なぜ「帰ってこられた」のか…。

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息を切らしながら、あの冒険者さんが駆け寄ってきた。
頬を赤らめながら無言で差し出してくれた手から、見慣れたはずの、しかし変わり果てた宝物を受け取った。

長年風雨に晒されたように錆びついた蛍雪のネックレス。
薄汚れ、ほとんど原形をとどめていない魔除けのイヤリング…。

それでも、パパとママからもらった大事な宝物であることはすぐにわかった。
そして、時を超えてきたような宝物を目にして、気が付いた。
この不思議な状況も…すべて、わかったような気がした。

「私の願いをかなえてくれるなんて、あなたはまるで、プリンセスデーのお話に出てくる、執事王さまみたいね!」

ふと、そんな言葉が口からこぼれた。

ちょっと驚いた様子の冒険者さん。
その後すぐに笑顔になり、私のそばでかしずいてくれた。
そう、まるで私の執事王のように。

そんなやり取りを楽しんだ後、私は冒険者さんに最後のお願いをすることにした。
私の宝物を、私の知りうる一番小さな親族に届けて欲しいと。
その子…トビンはこの時代にいるかどうかはわからないのだけど…。

優しく頷いた冒険者さんは、そのままお願いを叶えるためにウルダハを立つようだった。
通りすがりの子供に過ぎない私の為に…。

「本当にありがとう、わたしの執事王さま……バイバイ!」

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プリンセスデーの日、悪人に騙されて奴隷として売られ、
その後のあまりに惨い日々に苦しみ、絶望し、
そして自ら命を絶った私に、
幸せを…幸せな気持ちを取り戻すチャンスを、神様が与えてくれたのかもしれない。
ザル様が死者の世界から私を連れ戻し、
ナル様があのやさしい冒険者さんと引き合わせてくれたのかもしれない。

パパ、ママ、心配させてしまったよね。幸せになれなくてごめんなさい。
でもね、最後のプリンセスデーは、楽しい思い出にすることが出来たよ!
そのお手伝いをしてくれた冒険者さん…いえ、執事王さん
本当にありがとう!

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ウルダハのエドヴィア姫失踪事件に端を発するプリンセスデー。

その日は「すべての女の子をプリンセスに!」をスローガンに、
着飾った女の子たちが大通りを練り歩き、カラフルなスィーツをほおばったり、
フィギュアに扮して屏風の前でポーズをとったりして、一日楽しく過ごす。
ここ数年では「三歌姫」の活躍もお祭りに彩りを加え、華やかなお祭りとなっている。

だが、数十年前のプリンセスデーには、そんな華やかさの裏に物騒な一面があったという。
祝祭で賑わう通りで、執事王を名乗る男たちが、少女たちをだまして誘拐する、恐ろしい事件が起きていた。
犠牲となった少女たちは奴隷として売り払われ、悲壮な最期を遂げた者も…。

今ではそのような物騒事は無くなったが、華やかさの裏に潜む闇への警鐘として、
「名無しの少女」は現世に舞い戻ってきたのかもしれません。
それでも、プリンセスデーは華やかなお祭りであるべきでしょう!
全ての少女(プリンセス)に幸あれ!
Commentaires (3)

Nana Majolica

Masamune [Mana]

みいなさんの、お姫様姿のSS付きかと思ったのに。 (*ノωノ)

Punish Linkage

Masamune [Mana]

まさかの公式イベントネタ!
あのクエを補完するような内容でよいお話じゃったー

あ、インデックス追加しときました

Beatrice Beatrix

Masamune [Mana]

怪談会お憑かれさまじゃ~(*´ヮ`)ノ
FF14で幽霊と言えばエッダの印象が強すぎるがこの子も忘れてはならぬのぉ……いや、話を聞くまですっかり忘れておったりとかせぬよ(*'-')
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